NHK「連続テレビ小説」、通称「朝ドラ」。2月、来年4月からの上半期に放送される作品タイトルが『半分、青い。』になることが発表された。脚本は『ロングバケーション』『オレンジデイズ』『たったひとつの恋』などの名作を手掛けた、北川悦吏子さん(55)だ。
その北川さんが脚本執筆のため、ツイッターでリサーチを行っているようだ。
「イカ天とかドラマん中に、出せたら楽しいな~っと思って」
3月4日、「また質問です(だって、どうしたってツイッターで聞くのが一番早い!!)」と前置きし、『半分、青い。』との主人公と同じ1971年前後生まれの人たちにツイッター上で質問を投げかけた。
「1971年前後生まれで、地方公立高校出身の方。兼部ってありました? 体育系と文科系の兼部です。ふたつ入ってる。テニス部と美術部、とか」
「『いかすバンド天国』ってありましたよね?! その中で、推しバンド教えてください!!」
この質問に対して、該当者からは多くのリプライが寄せられた。
兼部については「なかった」「テニス部と新聞部に入っていた」など、地域や学校によって違いが見られた。また「いかすバンド天国」については、かつて土曜の深夜、テレビにかじりついて観ていた人たちが「カブキロックス」「ジッタリン・ジン」「マルコシアス・バンプ」「人間椅子」などと喜々として推しバンドを挙げている。ちなみに北川さんの推しは「宮尾ススム…と、たまです」だそうだ。北川さんは、
「イカ天とかドラマん中に、出せたら楽しいな~っと思って。1990年といえば、私の中では、イカ天です!」
とツイートしている。
懐かしい単語「ダブルカセット」「アルカノイド」「インベーダー」
一連のツイートに、「なぜ『#バブル』で調べないのか」と疑問に思う人もいるようだ。これに対して北川さんは、「今の、生の、この時、返してくださったリプライで、私、動きたいのです! それが出逢い、と思っているので!」とツイートした。
大御所の脚本家が、SNSを駆使して脚本を書く。その理由は、その世代にしか分からないようなディテールを作品に盛り込みたいからだ。
「1961年生まれのヒロインだったら、まま書けばすむけれど、1971年生まれ、こうして、リサーチが必要。ホントーーーに、ツイッターなかったら、無理だし。書けないよ、これ」
その後も、脚本を書き進めるにあたって、疑問が出てきたらツイッターに質問を投稿している。
「高校3年生の時、自分の部屋に、テレビってありましたか? 音楽は、何で聞いてましたか?」
「田舎育ちの人に質問です。高校3年の時、放課後、お腹すいて友達と行った場所を教えてください。マクド、ミスドはもうあるの?、コンビニはもうあるの?」
「喫茶店(死語?)に行くと、テトリスはありましたか?」
など、日常生活に関する質問を熱心にツイートしている。
1971年前後生まれも、同じく熱を持って返答する。どうやら彼らの自室にテレビはなく、ダブルカセットで音楽を聴いていたようだ。田舎在住者は個人商店で買い食いをし、都市部在住者は「マクドナルド」「ミスタードーナツ」などのチェーン店、喫茶店に寄る人が多かったという。また、喫茶店にテトリスがあるかどうかについては、「ある」と答える人がいる一方で
「アルカノイドだった」
「麻雀やポーカーなどの筐体はあった」
「インベーダーやパックマンはあった」
などとばらつきが見られた。「そもそも喫茶店に行く文化がなかった」と答える人も多く見られた。これらの意見に北川さんは「みなさま、ご協力、ありがとうございました!」と述べ、意気込みを語る。
「参考にさせてもらいます! 何か、お礼がしたいと思うのだけど、とりあえずは、絶対に面白い朝ドラ書きますので」
北川さんの質問ツイートを見かけたら、実体験をリプライしてみてはどうだろう。かつての「青春時代」が、朝ドラの中に描かれるかもしれない。