ザウバーのマーカス・エリクソンによると、たとえ全体的には接近戦が難しくなるとしても、今シーズンのF1でのオーバーテイクは、より「純粋」になるという。
大型化した新しいF1マシンは、以前のものに比べて空力に頼る部分がかなり多くなっており、この結果としてオーバーテイクが困難になるのではないかと、数人のドライバーが懸念している。
2月27日からバルセロナで行われた初のオフシーズンテストで、メルセデスのルイス・ハミルトンは、「2017年シーズンのレースが面白くなることを、期待しすぎないように」と忠告。さらに先行するマシンを追っている際に発生する乱気流は、優に2倍は強力だと語った。
しかし、エリクソンは新規則が本来のオーバーテイクを増やし、“高速道路上でDRSを使うような”追い抜きは少なくなると考えている。新マシンでの追い抜きの可能性について聞かれたエリクソンは、以下のように答えている。
「回数はそれほどじゃなくても、オーバーテイクは見られると思う。ここ数年は多く見られたが、ストレート上でDRS(を使って)の追い抜きだったから、それほどエキサイティングではなかった」
「これからは回数は減るかもしれないけれど、DRSによる『高速道路での追い抜き』のようなものではなく、もっと純粋なオーバーテイクになると思う。僕だったら、ストレートでDRSを使った追い抜きを10回見るより、本当に面白いバトルを1回見られたほうがうれしい」
「レースで実際どうなるかは様子を見なければならないけど、それでも僕はオーバーテイクは可能だと信じている」
またピレリの耐久性の高い2017年用タイヤは、バトルの最中にオーバーヒートを気にして引き下がる必要がないため、見せ場を増やしてくれるだろうとエリクソンは考えている。
「僕としては、タイヤを激しく使える余地が大きくなり、レース展開が少し違うものになると思っている。より攻撃的になれるんだ。これまでの数年は、後に長いスティントを走ることを気にかけてバトルを控えたりしていたが、いまのタイヤはオーバーヒートしにくくなっている」
「アタックするときに、積極的にスロットルを踏み込んでもグリップが失われない。昨シーズンまでのコンパウンドでは、ホイールスピンをしたり、誰かとバトルをしたらオーバーヒートしてしまい、タイヤ(のパフォーマンス)を取り戻せないことを思い知らされていた」