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移籍後初レースで表彰台を争った佐藤琢磨「本当にドタバタだった」

2017年03月13日 09:10  AUTOSPORT web

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チーム代表のマイケル・アンドレッティと談笑する佐藤琢磨
インディカー参戦8年目の佐藤琢磨が、アンドレッティ・オートスポートに移籍後初レースとなる開幕戦セント・ピーターズバーグで5位に入賞した。レース中一時は3番手まで浮上し表彰台を狙える位置にいたものの、最後のタイヤ交換でのトラブルで大きく遅れチャンスを逃した。

 琢磨の開幕戦は波乱含みのスタートだった。金曜午後プラクティスでブレーキトラブルに見舞われ、最終コーナーでクラッシュに終わった。これで今年からのルールで金曜日に履けることになったレッドタイヤを履くチャンスも失う。

■4台体制のチーム力が琢磨を助ける
 土曜日午前のプラクティスでも17番手に終わるなど、決して順調な仕上がりとは言えない状況で予選を迎えることになった。

「チームメイトのマシンからいろいろなデータをもらい助けてもらった」という琢磨は、グループ2で予選Q1に登場。

 特に速いドライバーがそろったこのグループでは、Q1突破が難しいかとも思われたが、セバスチャン・ブルデー(デイル・コイン)のクラッシュでセッション時間が短くなり、一発しかないタイムアタックで本領を発揮。見事にこれを通過する。

 Q2もマシンのアジャストが功を奏し、2015年デトロイト戦以来となるファスト6進出を果たしたのだ。

 さすがにポールポジションは狙えなかったものの、得意とするこのサーキットで予選5位を獲得し決勝を迎えることになった。

■開幕戦から優勝争いを展開
 レースではスタートでうまく順位を上げて4番手となり、ポールのウィル・パワー(チーム・ペンスキー)が早めのピットインをすると3番手へ浮上。早くも表彰台圏内に入った。


 レースの節目となったのが2度目のイエローコーション。琢磨をはじめ上位陣のほとんどはピットに向かったが、先にピットインを済ませていたドライバーもおり、コース上にステイアウトするマシンも多かった。

 30周目のリスタートで琢磨はチームメイトのライアン・ハンター-レイと接触しそうになりつつも、順位を7番手までジャンプアップ。その後も前のマシンの脱落やピットインもあり、70周目後半には再び表彰台圏内に戻った。

 問題が起きたのは最後のピットインだった。右フロントタイヤを交換するエアガンが作動せず作業が遅れる。ピットアウトの際にはジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)とも交錯しそうになるなど、およそ12秒をロス。5番手まで後退してしまった。幸いなことにパワーがマシントラブルで脱落し、あと10周のところで4番手へ。


 ラストラップにはチームメイトのハンター-レイが追い上げ、プッシュ・トゥ・パスも残っていなかった琢磨は万事休す。コントロールラインまでに仕留められてしまい5位でのチェッカーとなった。

「いろいろ起きましたけど、アンドレッティに移籍後の初レースでこの結果は良かったと思います。金曜日のクラッシュに始まって本当にドタバタだったけど、チームメイトのデータを共有させてもらって、マシンもよくなっていきましたし、予選もうまく合わせ込むことができました」

「途中ライアンと当たりそうになったりしたけど、彼がうまく対処してくれたおかげで助かりました。最後のピットインはミスがなければ、表彰台に届いていたかもしれませんけど、それは仕方ないですね」

「次のロングビーチはいい思い出のあるサーキットですし、また今日のレースのデータをしっかり見て頑張りたいと思います」と語る琢磨。

 レース後にはオーナーのマイケル・アンドレッティやスタッフにも祝福された。

 クラッシュから始まりながら、一時はトップも走り、最後は入賞でまとめ上げるなど、見るものを引きつける琢磨らしい開幕戦だった。