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本当は教えたくない!「築地より安くて新鮮」驚きの魚市場が銀座のど真ん中に

2017年03月13日 07:01  週刊女性PRIME

週刊女性PRIME

扱っている魚には種類、産地、生産者、漁法が記されているので安心性も◎

 今年1月、銀座の一角にオープンした『羽田市場 銀座直売所』。全国各地の漁場で朝にとれた超新鮮な魚介を当日(!!)に販売する驚きの直売所として、大きな注目を集めている。

「鮮度が全然違うんですよ。職場が近くなので、ほぼ毎日ここでお魚を買って家に帰ります。子どもも肉よりも魚が好きになったみたいで、今やわが家の食卓に魚料理は欠かせない」

 そう笑いながら話すのは、新橋周辺のオフィスに勤める30代のママさん。

 なんとこの直売所、その日の朝にとれた全国の新鮮な魚、例えば北陸産の甘エビ、長崎県産のケンサキイカ、北海道産の生ガキといった“朝どれ”の魚介を購入できるとあって、今や銀座の隠れスポットとして知る人ぞ知る存在なのだ。

 それにしてもなぜ、そんなことが可能なのか? 実は羽田市場は、その名が示すように羽田空港の貨物ターミナルの一角に鮮魚の仕分け・加工センターがある市場。朝とれたばかりの全国の新鮮な魚を空輸で羽田に送り、その日の夕方までにスーパーや飲食店に届ける、これまでの常識を覆す流通を行う唯一無二の市場なのだ。

厚岸産の大きなカキが1個200円と、驚きの安さ!

 本来、鮮魚は全国津々浦々にある漁業協同組合や市場、そして築地をはじめとした中央卸売市場を介するため、漁獲から通常3日後に店舗や食卓に並べられる。

 ところが、羽田市場はそれらを介さず、とった魚は当日に届けられ、しかも漁師が鮮度を保つための魚の血抜きや神経抜きを行っているので、新鮮さは段違いというわけ。

 実際に直売所に足を運んで驚くのは、価格帯の安さ。空輸で運ばれてきているためお高いのかと思いきや、朝どれの長崎県対馬産のイカが1杯500円、北海道厚岸産のカキが1個(大きい!)200円など超リーズナブル。

「空輸といっても運送コストは業者価格。何より仲卸を介していないため余分なお金がかかっていないので、築地よりも安い価格で販売できる。例えば金目鯛が築地で約5000円ですが、うちは築地より早く到着して約3300円です。仲卸にかからない分の対価を漁師に還元できるんです」

 そう答えるのは、羽田市場の仕掛け人にして、CSN地方創生ネットワーク株式会社代表取締役・野本良平社長。業務用食材卸を営む実家で商品開発や輸出入業務を学んだ後、回転寿司チェーンや惣菜店で役員を務めたが、利益が出ずに疲弊する産地を目の当たりにして同社を起業。「一次生産者が潤わない日本の流通を変えたい」との思いから、国に掛け合い続け、不屈の精神で羽田空港に市場をオープンさせた革新者だ。

銀座の一流店が買う魚を食卓で楽しめる

 銀座直売所は、「(築地では扱わない)1匹、2匹といった最少販売数から仕入れたい」という銀座料飲組合の要望によってオープンした背景を持つ。ところが、調べていくうちにほかにもニーズがあることがわかり一般客にも開放。結果、直売所は銀座の一流店が仕入れる魚を一般客も購入できるスポットとしても大きな注目を集めるようになった。


扱っている魚には種類、産地、生産者、漁法が記されているので安心性も◎

「北陸産の甘エビやボタンエビは、業者と一般の方で取り合いになることも珍しくない(笑)。鮮度抜群ですから、一般の方は必ずリピーターになります。今日の朝どれ魚をメールで発信しているので、気になる魚があれば取り置きもできますよ」(野本社長)

 現在、羽田市場は全国55の漁港から約200種の魚を仕入れ、毎日約3・5~4トンほどの鮮魚が羽田に送られるという。1日約400~500トン(鮮魚のみ)届く築地の100分の1の取扱量だが、その品質と豊富な魚の種類を求めて訪れる人は後を絶たない。

 直売所で出会った「名古屋から旅行で来た」という40代女性は、「1時間ほど前に築地へ行ったけど、お昼を過ぎているからか閉店状態のお店ばかり。一方、ここには目移りするくらいたくさん新鮮な魚や知らない魚が置いてある」と、驚いた様子。また、「購入した魚のオススメの食べ方を教えてくれるのもうれしかった。帰って調理するのが楽しみ」と、直売所の気遣いに心を躍らせている姿も印象的だった。

「新鮮な魚だからこその食べ方や調理方法がある。流通を変えるだけで、漁師は潤い、消費者は本当の魚の美味しさに気がつく。魚離れと言われていますが、子どもにアンケートを取るとお寿司が1位になります。魚食の強さは健在で、美味しい魚を食べていない人が増えてしまっていることが問題。それを解決するために羽田市場は、魚の魅力を発信し続けていきます」(野本社長)

「銀座に行けない」とお嘆きの方に朗報! 

 現在、羽田市場の魚は、『庄や』『日本海庄や』『大庄水産』などの全国410店舗をはじめ、『はなの舞』といった居酒屋で食べることが可能。また、百貨店では関東11店舗の高島屋、スーパーでは東急プレッセが扱っている。関西方面でも阪急オアシス、平和堂、関西スーパーで購入できる。

 そして、刺身を購入する際に覚えておいてほしいことが! 「業務用の大根のツマや大葉を下に敷くと魚のうまみがなくなる」(野本社長)とのこと。そのためサクで買い、自宅で切って食べるのがオススメという。

<DATA>
羽田市場 銀座直売所
東京都中央区銀座8-15-6 クリスタルスクエア銀座1F
営業時間:10:00~18:00/定休日:月曜日
電話:03-4582-2394