ノルウェーの『鉄のいばらをこえて』(The Hedge of Thorns)は戦争によって分断された子供たちを描いた作品。切り絵によって表現された可愛いキャラクターと戦争の残酷さのコントラストが印象的だ。本作はアヌシー国際アニメーション映画祭をはじめ、数多くのアワードに輝いている。
アイスランドの『アンナとムード』(Anna and the Moods)は思春期の少女が更生施設に入れられてしまうドタバタコメディ。イギリスの弦楽四重奏団・ブロドスキー カルテットの演奏に合わせてアニメーションをつけたという一風変わった制作経緯を持つ。
デンマークの『ワルシャワゲットーでの7分間』(Seven Minutes in the Warsaw Ghetto)はナチス占領下で起きた事件を元にしている。モノクロによって表現された美しい映像と無慈悲な結末が心に刺さる一篇である。
フィンランドのアニメ『ピックリ』はTVシリーズの「ピックリ出ておいて!」(Come out, Pikkuli!)と「ピックリのペット」(Pikkuli gets a Pet)の2編を上映。生まれたばかりの小鳥・ピックリが、親や兄たちと一緒にカラフルな世界を駆け巡る姿が元気いっぱいに表現された。とくにペットの芋虫が可愛らしく、犬がお腹を見せるようにひっくり返って甘えたり、ほかの鳥に食べられてしまったりするシーンでは観客の笑いを誘っていた。
同じくフィンランドの『ソア アイズ オン インフィニティ』(Sore Eyes for Infinity)はメガネ屋にやってくる可笑しな人々を描いている。ザグレブ国際アニメーション映画祭のコンペ部門に出品中の注目作だ。