走り込み不足を少しでも解消したかったマクラーレン・ホンダだったが、最終日もトラブルが続いた。11時14分にフェルナンド・アロンソのマシンがコース上にストップ。赤旗が出されて回収された後、再びコースインしたものの、11時52分にまたコース上で止まってしまった。
「電気系のトラブルが再発しました。昨日とまったく同じです。交換しきれなかったところに問題があったんだと思います」と長谷川祐介ホンダF1総責任者は語っていた。
前日の3月9日にもストフェル・バンドーンのマシンに発生していた電気系のトラブルだが、当初チームは電源の供給元となっているパワーユニット周辺を疑った。そこでホンダはバンドーンのマシンに搭載されているバッテリーパックを交換。
ところが、それでも再び停止したため、ホンダは3日目のセッション終了後、夜を徹してパワーユニットの電気系部品を変える決断を下す。
「すでに初日と2日目に使用して問題が出ていない実績品にすべて交換しました」
しかし最終日、アロンソのマシンはまたもや走行中に電源がシャットダウンしてしまう。
「9コーナーで縁石に(底を)ヒットした直後に止まったので、衝撃が関係していたのだと思います」という長谷川総責任者は、「それ以上は私から申し上げられません」と語るにとどまった。なぜなら、原因はパワーユニットではなく、車体側にあったからだ。
今回、2日間に渡って起きた一連の電源系の問題の原因がホンダになかったことは明らかになったものの、長谷川総責任者は「(車体とPUの)どちらに原因があったのかということよりも、チームとして走行時間を失ったことが残念。でも、グランプリ期間中に出なくてよかったと前向きに考えたいです」と、パートナーを責めることはなかった。
それよりも、長谷川総責任者が気にしていたのは、13人中11位に終わったパフォーマンスだった。
「アロンソの1分21秒389は、タイムを出した時間帯(午後5時すぎ)を考えれば、そこまで悪くなかったと思います。通常、夕方にベストタイムは出ないじゃないですか。もし、ハーネス(電気系)の問題に見舞われずに、お昼ごろにアタックができていたら、もう少しタイムが良かったのかもしれない」
それでも、トップのフェラーリは1分18秒台に突入。レッドブル、メルセデスAMGだけでなく、トロロッソとルノーも1分19秒台を叩き出し、1分20秒台にはフォース・インディアとウイリアムズが並んでいる。振り返れば、後ろにはザウバーしかいない状況に、「相当な危機感を持っています」と、長谷川総責任者の表情は厳しい。
しかし、今年はトークンフリー。年間4基の範囲内で、自由にアップデートできる。シーズンはまだ開幕もしていない。あきらめるのは、まだ早い。