トップへ

映画の地上波放送はどう変化? 『日曜洋画劇場』終了とフジテレビ『アナ雪』批判から考える

2017年03月10日 18:33  リアルサウンド

リアルサウンド

リアルサウンド映画部

 テレビ朝日は3月7日、番組改編説明会で4月の番組改編によって『日曜洋画劇場』が終了することを発表。TwitterなどSNSをとおして、『日曜洋画劇場』の“完全消滅”を惜しむ声が相次いでいる。


参考:菊地成孔の『ラ・ラ・ランド』評:世界中を敵に回す覚悟で平然と言うが、こんなもん全然大したことないね


 1966年からスタートした『日曜洋画劇場』。その歴史は長く、放送当時は『土曜洋画劇場』として、現在『土曜ワイド劇場』が放送されている枠で約半年間放送。その後、現在の日曜に枠を移動し、約半世紀にわたってお茶の間に映画を届け続けてきた。


 ハンフリー・ボガートとエヴァ・ガードナーが主演したジョーゼフ・L・マンキーウィッツ監督の『裸足の伯爵夫人』(1954年)を第1回作品として放送し、視聴率14.9%を獲得。60年代から70年代にかけてはヒッチコックやジョン・フォードの名作やアメリカン・ニューシネマなどを中心に、80年代から90年代にかけてはアクション大作などを放送し人気を博したが、衛星放送やレンタルビデオ・レンタルDVDショップの台頭、PCやスマホの普及など、時代の変化とともに映画の地上波放送ニーズが減少。視聴率も下降線をたどっていくことになった。


 2012年7月以降は不定期放送となり、2013年4月期の改変で『日曜洋画劇場』の枠は正式に『日曜エンターテインメント』枠へと変更。『日曜洋画劇場』の名前は残しつつも、近年は『相棒』や『トリック』、『臨場』など、同局放送ドラマの劇場版を中心とした邦画作品の放送を目にする機会が増えていた。


 映画ファンにとっては、やはり映画評論家・淀川長治の独特の解説、そして「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ」の名調子が最も記憶に残るところだろう。日本テレビ系の『金曜ロードショー』やフジテレビ系の『ゴールデン洋画劇場』と並んで、映画ファンになるきっかけとなった人も少なくないはず。高価な映画鑑賞料金を払わず、わざわざ映画館に足を運ばずに、お茶の間で気軽に、無料で映画を楽しむことができるのは、多くの人々にとって大きな助けになったことは間違いない。テレビ放送用に新たに収録されたオリジナル日本語吹替ファンも多かったのではないだろうか。


 一方で、テレビ放送用にカットされた編集や、間に挟まれるCMなど、地上波放送ならではのマイナスポイントがあるのも事実。HuluやNetflixなどの定額制動画配信サービスの台頭により、地上波で映画を観る機会が少なくなった人も多いはずだ。


 複数の報道によると、テレビ朝日の西新総合編成局長は「枠はなくなりますが、娯楽性のあるものに関しては特番の形で放送できると思う」と、あくまで枠がなくなるだけで、曜日や時間にこだわらず、そのときどきの編成によって洋画を放送する可能性があることを示唆した。


 なお、現時点で『日曜洋画劇場』として放送されたのは、2月12日放送の『相棒 -劇場版- 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソン』が最後。このままひっそりと枠がなくなってしまうのか、はたまた枠の最後を飾る作品が何か放送されるのかは明らかになっていない。


 映画の地上波放送といえば、先週3月4日にフジテレビが『土曜プレミアム』枠で、日本国内歴代総合興行収入ランキング第3位の記録を持つディズニーの大ヒットアニメーション『アナと雪の女王』を地上波初放送した。本編ノーカットということで放送前から期待が高まっていたが、蓋を開けてみれば同局オリジナルのエンディングに批判の声が相次いだ。


 結果的に平均視聴率19.7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と高視聴率を獲得したが、この結果を、オリジナルエンディングによる功績と捉えるか、はたまた普通に放送していればもっといい結果を得ることができたと捉えるかは難しいところだ。


 一映画ファンとしては、作品そのものの力を信じて、なるべくオリジナルに近い形で放送してほしいというのが正直なとところだが、いくら大ヒット作と言えども、そこまで大胆な展開をしないと数字を見込めないと捉えることもできる。


 『日曜洋画劇場』の完全消滅とフジテレビの『アナ雪』放送批判。このふたつの事実は、映画の地上波放送のかたちの変化を象徴した出来事だと言えるだろう。(宮川翔)