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マクラーレン・ホンダ密着:テストは残り1日。タイムは更新も課題は山積

2017年03月10日 16:21  AUTOSPORT web

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パワーユニットの電気系統トラブルにより満足に走行できなかったストフェル・バンドーン
第2回F1バルセロナテスト3日目、この日マクラーレン・ホンダは、今年の合同テストで自己ベストとなる1分21秒348をマークした。それまでのベストタイムは2回目のテスト初日である3月7日にストフェル・バンドーンが記録した1分22秒537だったため、1秒以上もタイムを縮めてきたことになる。 

 その理由のひとつに、バンドーンがベストタイムを更新したときに履いていたタイヤがもっとも軟らかいウルトラソフトだったことは否定しない。この日は、バンドーン以外にも多くのドライバーが自己ベストを更新しているが、彼らもまたウルトラソフトを装着していた。

 ただ、タイヤを軟らかくしただけで、タイムが2日前から自動的に1秒も上がるわけではない。何千ものパーツで出来上がっているF1マシンは、サーキットのコンディションに合わせて適正にセッティングしないと、ドライバーは実力を出せない。そして、そのセッティングとは何も車体側だけが行っているわけではなく、パワーユニット側でも行っているのである。

「ドライバビリティに関しては、まだまだ煮詰めなければなりません。特にシフトチェンジ時の挙動に不満を語っていました。シフトアップがハーシュ(不快)だと」と長谷川ホンダF1総責任者は語っている。

 2回目のテストの2日から新スペックのパワーユニットを投入したホンダは、データのセッティングをやり直さなければならず、まだその作業が続いている。しかし、この日は電気系にトラブルが発生して、何度か走行を断念していた。


「午前中の最後に電源系のトラブルが出て、(1コーナー手前で)止まってしまいました。原因がわからなかったんですが、すぐに復帰したのでコースに出したんですが、再び止まってしまいました。そこで電源系に関するすべてのパーツを交換することにしました」

 バンドーンが走行を再開したのは、午後4時。その後、しばらくはショートランを繰り返して、マシンのセットアップなどを調整していたが、セッション終了間際に、再び電源が落ちた。

「昨年のブラジルGPのフリー走行でもあったんですが、いったん落ちた電源がすぐに復帰したので、ストフェルは自力でピットに帰ってくることできました。ただ、セッション終了まで30分しかなかったので、この日はテストを終了しました」

「トラブルはありましたが、いろいろな空力のテストとパフォーマンスの確認ができたことで、新車を理解するという意味ではいいテストができたと思います」

 ホンダがパワー面でまだライバルに後れを取っていることは否定しない。しかし、まだそのパワーを出し切れていないことも事実である。今年から搭載燃料は5kg増えて105kgになったが、空力とタイヤが変わったため、燃費はむしろ厳しくなっている。つまり、持っているパワーを有効に使うことがいままで以上に重要になる。

「ドライバビリティはとても大切です。ドライバビリティを改善し、もう少しパワーを出せれば、クルマ自体はそこそこまとまると思います」

 いよいよ、テストはあと一日。ドライバビリティを少しでも改善させて、テストを締めくくってもらいたい。