3月8日、第2回バルセロナテストの2日目、ホンダが新しいスペックを投入した。長谷川祐介ホンダF1総責任者によれば、「もともとこれをメルボルンに投入するスペックにしていたもの」で、2回目のテストの初日から使用される予定だった。
しかし、1回目のテストの2日目(2月28日)に起きたトラブルを受けて、原因はいまだ特定はできていないものの、考えられる対策を行っていたため、到着が遅れた。つまり、2回目のテスト初日(3月7日)に起きた電気系トラブルは旧(1回目のテストとまったく同じ)スペックだった。
「(3月7日に発生した)ストフェル(バンドーン)の電気系トラブルは、絶縁不良が発生して、地絡(電気が大地に接触して電流が流れること)が疑われる症状が発生したのです。現在のF1マシンは回生システムを搭載して高圧電流が流れているため、プラスもマイナスもクルマから完全に浮かせています。それがどちらかでも地面に接触すると地絡となるわけですが、いまのF1でそういうことはおきることはまずない。ただ高圧端子がゴムなどの絶縁物質で覆われていても、地面に接触すると地絡状態になってしまいます。今回のトラブルも完全にショートしていたわけではなく、絶縁抵抗があるレベルを下回ったために、警告が出ていただけです」
「この類のトラブルはちょっとした絶縁不良でも起きるので、修復するのはそんなに難しいことではないんですが、どこが絶縁不良を起こしているかを探すことのほうが大変な作業になるので、パワーユニットごと交換することにしました」と長谷川総責任者は語った。
さて、3月8日に投入されたホンダの新スペックだが、この日、フェルナンド・アロンソが46周を走行し、パワーユニットに関してはノートラブルだった。パワーユニットに問題がなかったわりに周回数が稼げなかった理由を長谷川総責任者は「私の口からは申し上げられません」と明らかにしなかったが、チーム関係者によれば、午前中に27周を走行したところで車体側に水漏れのトラブルが発生していたのだという。
もちろん、ホンダとしても、46周ノートラブルというだけでは、まだ安心はできない。だが、一歩ずつ前に進み出したことも確かだ。
「現時点でこれをメルボルンで使用するどうかは未定です。今後、(2月28日のトラブルの)原因が解明されれば、これ(3月8日に使用した新スペック)をベースに、開幕戦ギリギリまで信頼性を向上させるためにできることはなんでもやるつもりです」
残るテストは2日。あと2日しかないが、やるべくことはたくさんある。