マクラーレンのレーシングディレクター、エリック・ブーリエは、MCL32の挙動がナーバスだと報道されているが、ホンダのパワーユニットのドライバビリティが関係しており、シャシーだけの問題ではないと主張した。
2017年の冬季テストでホンダのパワーユニットにはトラブルが相次いだが、マクラーレンのシャシーもそれほど優れたものではないと考えられており、英AUTOSPORTのテクニカルエキスパート、ゲイリー・アンダーソンは、第1回テストをコース脇で見ていた感想として、マクラーレン・ホンダのマシンはターン1、2、3で非常に苦しんでおり、「『非常に優れたシャシーがエンジンに足を引っ張られている』という状況ではない。パッケージ全体の問題だ。マクラーレンとホンダの両方が真剣に取り組んでいく必要がある」と評した。
マクラーレンはこういった評価に反発し、シャシーは期待どおりの優れたパフォーマンスを発揮していると主張している。ブーリエは、ホンダの新しいパワーユニットの特性が大きく影響しているという考えを示した。
「マシンに関しては、我々がどういう変更を施しても、それにうまく反応する」とブーリエ。
「ドライバーたちもその点には非常に満足している」
「(ターン1、2、3においてハンドリングに苦労しているという)コメントをいくつか読んだが、それは(アメリカ合衆国大統領のドナルド)トランプが言うところの『フェイクニュース』のようなものだ。シャシーだけの問題ではないからだ」
今のハイブリッドエンジンはシャシーの挙動に大きな影響をおよぼすとブーリエは言う。
「いくつかドライバビリティの問題がある。パワーをかけるとマシンリヤの挙動が乱れ、そのためにマシンがナーバスに見える。だが何も悪いところはない」
「ドライバビリティ、使い込んだタイヤ、タイヤのウォームアップが十分でなかった、などといった問題もあるのだ」
「ここで走っているマシンはローンチスペックであり、いろいろと細かいことを試している。まだフルスペックは走らせない。(開幕戦)オーストラリアに導入する予定だ」
シャシーに関しての第一印象はいいというブーリエだが、テスト期間中に走行時間を大量に失っていること、信頼性の懸念があるためにエンジンの出力を下げて走らなければならないことで、適切な評価をするのが難しいと認めている。
「ある程度の速さで走らなければ、タイヤやブレーキに十分なエネルギーをかけられず、車高のターゲットも異なってくる」とブーリエは言う。
「ストレートで15km/hから18km/h遅く走ると、非常に大きな影響が出るのだ」
「それでもマシンを走らせることで得られるデータを最大限に活用している。シミュレーションや(マクラーレンの本拠)ウォーキングで出た結果との相関精度が高いことを確認するためだ。それができれば、マシンの設計、デザインに関して同じプロセスを取っていくことができる」
「とはいえ、他のマシンと同じスピードで走れれば楽なのは確かだ。いろいろな要素においてもっと理解を深められるだろうからね」