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スーパーフォーミュラ合同テスト首位のロッテラー「ガスリーの走りには驚いた」とルーキーを警戒

2017年03月08日 18:30  AUTOSPORT web

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アンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM’S)
3月6日から7日にかけて、鈴鹿サーキットで行われたスーパーフォーミュラの2017年シーズン初の公式合同テストでは、4名のドライバーが1分35秒台をマークする結果となった。

 また、2日続けて総合首位となったアンドレ・ロッテラー(VANTELIN TEAM TOM’S)は2日目の午後に1分35秒163を記録し、自身が14年に記録した公式レコード、1分36秒996を大幅に上回る異次元の速さをみせた。

 ダラーラ社製のシャシー、『SF14』が導入されて4シーズン目となる17年シーズン。合同テスト1日目の午前から1分36秒台を記録するドライバーが現れ、例年よりスピードが上がっていることは早い段階から確認できたが、午後のセッション終盤に新品タイヤを履きコースインしたロッテラーがさらに速い1分35秒657をマークし、スーパーフォーミュラで初の1分35秒台が叩き出された。これには彼も嬉しかったようで「パーフェクトラップだったよ!」と満面の笑みだった。

 続く2日目も、午後になりタイムが伸びていき、セッション残り10分を切ったところでチームメイトの中嶋一貴やディフェンディング・チャンピオンの国本雄資(P.MU/CERUMO・INGING)が1分35秒台を記録するが、ロッテラーはそれをさらに上回る1分35秒163をマーク。わずか2日で、今まで未知の世界と言われていた1分35秒台を飛び越え、1分34秒台も目前というところまでタイムを伸ばした。

 これには、関係者を含め、サーキットに足を運びテストの様子を見守っていたファンも驚いたのだが、ロッテラー本人は1分34秒台が見えていたと感じており、意外にも悔しい表情を見せていた。

 テストを終えたロッテラーは「1分34秒台を出したかったね。決して100%というラップではなかった。たくさんのマシンがいて、シケインで渋滞してしまいスローダウンを余儀なくされたし、タイヤのウォームアップも満足いくものではなかった。スプーンでも1台に引っかかってしまった。多分、コンマ1秒はロスしていたと思うから……ちょっと残念だよ」と悔しがる。

 じつは、この時期は気温も低くタイムが出やすい傾向にあり、公式のラップレコードは14年の開幕戦でロッテラーが記録した1分36秒996だが、テストでの非公式タイムを含めると、16年の11月に野尻智紀(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が1分36秒456を記録しており、これが実質的な鈴鹿での最速タイムだった。

 しかし、今回はそれを1秒以上も更新されることとなった。テストに参加した全ドライバーの平均タイムをみても前年比で1秒アップしているのだが、これは17年用スペックのヨコハマタイヤと、パワーアップしたエンジンの影響が大きいという。

「タイヤも良くなっているし、エンジンもパワーアップしている。そしてこの時期はマシンが速いからね。本当に凄いスピードだった。レースウィークになるとまだ違った展開になってくると思うけど、この2日間は充実していたし、楽しめたよ」と、ロッテラーは語る。

 午後のセッションでは2日間ともに、チームメイトの中嶋一貴とともにワン・ツーで終えたトムス勢。苦戦を強いられた16年から、息を吹き返して来たようにも見えるが、彼らはライバルの動向にも注意を払っている。特に、多くの注目を集めている16年GP2チャンピオンのピエール・ガスリー(TEAM MUGEN)のパフォーマンスには驚いたという。

 2日目午後のセッションで1分35秒585をマークし、3番手に入ったガスリーについて尋ねられたロッテラーは「まだ開幕前だから、何とも言えない。他のドライバーも速くなってきているしね。でも、ガスリーの走りには驚いたよ。素晴らしいルーキーだね。もしかすると、バンドーンより手強いかもしれない」と、印象を語る。

 03年にデビューしたフォーミュラ・ニッポン時代を含め、15シーズン目の参戦となるロッテラー。16年の最終戦で、17年はスーパーフォーミュラへの参戦を終了すると示唆していたが、最終的には参戦が決定。

 並行して参戦するWEC世界耐久選手権では、アウディの撤退を受け、ポルシェに移籍することとなった。ロッテラーにとってはWEC参戦も重要だが、日本でレースをするということに重要な意味を見出しているようだ。

「WECのプログラムはプロフェッショナルだし、僕のキャリアの中でも重要なこと。でも、フォーミュラで限界まで攻めていくのが好きだし、自分にとっては、チームもファンも家族のような存在だ。なにより日本でレースをすることが大好きだからね。何年もタイトル獲得から遠ざかっているから、17年は何としても取りたいよ」

 WECのテスト日程と重なっているため、3月31日から富士スピードウェイで行われる2回目の合同テストは欠席となるが、久しぶりに頭一つ抜け出る速さをみせたロッテラー。この勢いで開幕戦もポールポジション争いに絡んでくることは間違いなさそうだ。