2017年シーズンに導入されるF1タイヤの正確なデグラデーションレベルは、現在開催中の最後のオフシーズンテストを終えた時点で、ようやく正確に把握できるようになるとピレリは考えている。
F1の公式タイヤサプライヤーであるピレリには、レース中のドライバーの、より激しい走りに耐えるタイヤを製造することが求められている。バルセロナで行われた第1回合同テストでは、デグラデーションが劇的に低減されていることが判明した。
しかしピレリは、一足飛びに結論を出さずに慎重な姿勢を保つ。各チームがラップタイムを追求する今週のテストでは、より適正に近いデータが得られるとしている。シーズン中は路面温度が高くなること、それにともなって最新型マシンのパフォーマンスも大きく向上することを見込んでおり、同社のレーシングマネージャーであるマリオ・イソラは次のように話す。
「仮にラップタイムが2~3秒上がるようなら、我々としてはデグラデーション値を再評価する必要がある。(ラップタイムが)まったく落ちないという感想を得ていて、それは悪いことではないかもしれない。(第1回テストの)数値を見るかぎり、確かにそのとおりだ」
「とにかく(今週のテストを)待って、どうなっているかを確かめよう。もしラップタイムが2秒上がれば、デグラデーションも変わってくる」
2017年型の刷新されたマシンに使う新ワイドタイヤの準備を進めてきたピレリは、メルセデス、レッドブル、フェラーリが用意したモディファイ版の2015年型マシンに開発中のタイヤを装着してのテストも行ってきた。
ピレリは、テスト用の改造車両が2017年に想定されるダウンフォースレベルに達していなかったことを認めている。シーズン開幕戦となる今月末のオーストラリアGPまでに、ダウンフォースレベルは再度変わるだろうと予想する。ピレリでモータースポーツ責任者を務めるポール・ヘンベリーは、以下のように意見を述べた。
「これまで見てきたことと、メルボルンで見ることになるものは同じにはならない。ほとんどのチームも同じ考えだろう。メルボルンの土曜日の夜は、どうなっているだろうね」
「デグラデーションはあるが、テストの時期より気温が20度高くなるバルセロナ(5月のスペインGP)に注目すべきだ。みんなおそらく、2~3秒のパフォーマンス向上を想定しているだろう」
「1周あたり3秒速くなれば、全体の筋書きが変わってくる。目を向けるべきは現在ではなく、シーズン終了時点でどこまでいけるかだ。そのころのマシンは、いまとは劇的に違うものになっているだろう」