2017年のF1にフル参戦するルーキーはふたり。マクラーレンのストフェル・バンドーンとウイリアムズのランス・ストロールである。そのひとりであるバンドーンについて、マクラーレンのエンジニアが興味深い評価を語った。
今回、バンドーンを評価するのはマクラーレンでレースエンジニアを行っているマーク・テンプルだ。テンプルはフェルナンド・アロンソの担当だが、16年のバーレーンGPでは、開幕戦オーストラリアGPでの大クラッシュにより、ドクターストップがかかって欠場したアロンソの代役としてレースに出場したバンドーンのレースエンジニアを務めた経験があり、バンドーンをよく知る人物である。
テンプルは「ストフェル(バンドーン)がいかに才能豊かなドライバーであるかは、16年のバーレーンGPを振り返ってもらえばよくわかる。バーレーンGPはタイヤのマネージメントが難しいコースとして有名で、ベテランドライバーでもリヤタイヤのオーバーヒートに苦しむサーキットなんだ」と語る。
しかも、スタート時間は午後6時のナイトレースで、新人にとってとてもタフな場所なんだ。にもかかわらず、ストフェルはいきなり入賞した。同じ10位でも、バーレーンでの10位入賞は非常に価値がある」
バンドーンが優れたドライバーであることは、GP2時代、スーパーフォーミュラ時代、そしてリザープドライバー時代のチーム関係が口を揃えて語っているが、具体的にどこが秀でているのだろうか。テンプルはこう続けた。
「まず、ナチュラルな速さがある。これはレーシングドライバーにとってもっとも大切なこと。そのうえで、非常に賢いんだ。フィードバックやセットアップ作業がとても正確で細かいから、エンジニアとしては仕事がやりやすいんだ」と賞賛した。
それ以外に、バンドーンにはあとふたつ、素晴らしい点があるという「そのひとつは、マシンの状態に対する感度がいいこと。マシンがどのような状態で走っているかを感じ取るセンサーの精度が高いんだ。そのことをよく証明しているのが、去年のバーレーンGPでのタイヤマネージメント。並の新人なら、レースになるとすぐにエキサイトしてタイヤをダメにしてしまうが、ストフェルはリヤタイヤと対話しながら、レースをコトロールしていたよ」と語る。
そして、最後にテンプルが挙げたのが、バンドーンの努力する姿勢だ「私はこれまでルイス(ハミルトン)、フェルナンド(アロンソ)と仕事をした経験があるけど、ふたりともドライビングスタイルもキャラクターも大きく違うけど、速くて、賢くて、センサーの精度が高く、そして努力家という点は共通していた。だから、その点ではバンドーンもチャンピオンになる逸材だと思う。私はマックス(フェルスタッペン)よりも上だと思うよ」と賞賛した。
合同テストでは、バンドーンが駆るマクラーレン・ホンダはトラブルが連続。バンドーンにとって、状況は必ずしも良くない。しかし、状況が困難になればなるほど、速く、賢く、感度が良く、努力家のバンドーンは真価を発揮するだろう。