働き方改革が叫ばれて久しい。多すぎる残業時間を減らそうという機運が高まる中、エンジニア向け情報サイト「fabcross for エンジニア」は、20歳~59歳の公務員・社会人1万145人を対象に、残業に関するアンケート調査を行った。
50代の過半数「社会人として成長するためには、残業が必要なときもある」
1か月の残業時間の平均を出したところ、25歳から29歳の層が19.6時間と最も多い。次は、50歳から54歳の19時間、35歳から44歳の層の18.2時間と続き、本調査では、年代による残業時間数に大きな差が無いという結果になった。
一方で、月の残業時間が0時間と答えた割合は年齢が高くなるにつれ増加。20歳~24歳では18.5%だが、55~59歳では27.3%に上った。
また、残業に対する考え方への回答を年代ごとに比較すると、「日本は残業が多過ぎる」「残業ゼロで終わるように企業・団体の幹部が仕事のやり方を考えるべきだ」「自分の勤めている企業・団体で残業を減らすのは無理だと思う」という考えに対し、若年層であればあるほど賛同する傾向が見られた。昨今の長時間残業問題に反映されるように、残業時間を少なくしたいと思っている若者が多いようだ。
「社会人として成長するためには、残業が必要なときもある」という項目に対し、最も支持が高かったのは50代(53.5%)となった。
同じ項目を支持した20代は50.3%おり、50代と20代との意識の差は微々たるものだと思われるが、一方で「残業ゼロで終わるように企業・団体の幹部が仕事のやり方を考えるべきだ」に賛同するのは20代が42.7%で最も高かった。
20代の残業の理由は「生活費のため」が41.8%で最多
若い世代の中では、残業はなくすべきという思いが比較的強いようだが、現実は厳しいようで、残業せざるを得ない事情もあるようだ。
アンケートでは残業の理由を複数回答で聞いている。それによると、20代の残業の理由は「残業費をもらって生活費を増やしたいからだ」(41.8%)が最も高く、次いで「自分の能力不足によるものだ」(37.1%)、「上司からの支持だ」(34.9%)、「担当業務でより多くの成果を出したいからだ」(32.3%)と続く。
今回調査を行ったfabcross for エンジニアは、3月2日にも残業に関する調査の結果を公表している。そこでも、「残業費を貰って生活費を増やしたいから」との答えが34.6%と最多だった。
多すぎる残業時間を減らし、かつ生活のために十分な給料を得るためには、基本給の引き上げが必要だ。残業時間の減少やフレキシブルな働き方の促進に加え、こうした点の議論や改革も待たれる。