午前9時3分、数チームのマシンがコースインしていった後、マクラーレンのガレージが開き、ストフェル・バンドーンが乗るMCL32がピットアウトしていった。
1回目のテストでエンジントラブルを発生させたホンダ。そのエンジンはHRD Sakuraに送り返され、調査された。長谷川祐介総責任者は「壊れた部位は特定できたが、原因は解明中」だと語っていた。そのため、ホンダはトラブルを発生させない根本的な対策を講じられないまま、2回目のテストに臨むしかなかった。
心の片隅に不安を抱えたまま始まった合同テスト2回目。しかし、バンドーンがテスト開始同時にコースインしたことで、最初の関門は通過した。
次の関門は、29周目だった。それは、1回目のテスト初日のオイルタンクも、2日目のエンジントラブルも、問題が起きたのが29周目だったためだ。インスタレーションラップ後、ピットインとピットアウトを繰り返し、順調に周回を重ねていったマクラーレン・ホンダが29周目の周回を迎えたのは午前11時すぎのことだった。
29周を過ぎても、走行を続けるマクラーレン・ホンダ。「1週間前のトラブルは何かイレギュラーな問題が発生したのか?」と思い始めた34周目にバンドーンがピットインしてくる。いつものようにメカニックによってガレージへ押し戻されたバンドーンが乗るMCL32が、再びコースインするのはそれから約3時間半後のことだった。
トラブル後にマクラーレンで開かれた会見で、エリック・ブーリエ(レーシングディレクター)は「先週のトラブルと同じ原因だと思う」と語っていたが、ホンダ研究所であるHRD Sakuraに戻されたエンジンが壊れた理由は現在も究明中であるため、公式にはいまも不明のままだ。
では、この日のトラブルはなんだったのか? ホンダによれば、「トラブルは電装系に起きた」という。今回、ホンダは1回目のテストと同じスペックのパワーユニットを持ち込んでいるが、1週間前とまったく同じではない。壊れた部位が特定されているので、いくつかの対策を行っている。
それでも、トラブルは再び起きてしまった。しかし、このトラブルによって、1週間前にはわからなかった何かが発見できたとしたら、このトラブルは決して無駄な経験にはならない。
「当然ながら、再び起きたトラブルにチームメンバーの多くがフラストレーションを感じている。しかし、ホンダも信頼性を向上できるよう必死に改善を図っている。彼らならオーストラリアまでに問題を解決できると信じている。なぜなら、彼らはわれわれのパートナーだからだ。そして、パートナーなら、いまこそ彼らを支えなければならない」
1週間前の会見では、ホンダのトラブルに対して少し冷たかったブーリエが、この日は素晴らしい対応を行った。ブーリエだけではない。わずか3時間半でパワーユニットを積み替えたマクラーレンとホンダのメカニック。そのマシンでトラブル後、46周を走行するというプラグラムを組み立てたエンジニアたち。そして、わずかなミスも犯さずにそのプログラムを遂行したバンドーン。困難に直面したとき、その人の真価問われる。マクラーレン・ホンダの残りの3日間に期待したい。