先日、10年ぶりぐらいに麻雀をした。どういう役があるのかもおぼろげで、点数計算もあやふや。でもまあ、頭の体操には良かったようで、その後の仕事は何となくいつもよりも捗ったように思える。
楽しく麻雀をしていると、近くの卓の様子がちょっとだけ気になった。スーツ姿の男性4人が、一見普通に卓を囲んでいるんだけど、1人は50代の上司風。残る3人はまだ20代のように見えた。(文:松本ミゾレ)
上司「今日は俺がトップになるまでやるぞ」
この上司風の男性、若いメンツと打つのが楽しかったのだろう、やたら上機嫌だったのが印象的だ。しかし、対照的に若い3人の顔は暗い。無理して笑い、ときおり若者同士で辟易したかのように目配せなどしている。気持ちのこもってないお世辞なんかも言っていた。
無理もない。時刻はすでに20時を回りつつあった。しかもその日は平日。普通に考えれば、明日も仕事なので、さっさと帰って仕事に備えて休みたいだろうし、自分のしたいことだってあるだろう。それなのにこの上司一人が麻雀に没頭している。
自分が振り込んで損をすればムスッとして、相手を一瞥し、「今日は俺がトップになるまでやるぞ」とまで宣言していた。他人事ながら、そっちが気になって気になってしょうがなかった。
こういう上司って、身勝手であることはもちろんだけど、それ以前「コイツ、自分が他人に嫌われるような存在になっても平気なんだろうな」と、ある意味で感心してしまう。
明らかに空気的に、3人とも嫌々麻雀に付き合っていて、何なら終電の時間をスマホで調べるしぐさもしている。そんな彼らの姿を見たうえで、それでもお開きにしないなんて、ちょっと僕にはできない芸当だ。
世間には、自分の都合で遅くまで部下を連れ回すような上司というのがしばしばいる。彼らに言わせれば、きっと「レクリエーションの一環だし、相手も喜んでるに違いない」となるのだろう。だから悪びれもせず、終電ギリギリまで飲みに付き合わせたりとか、愚痴を聞かせてうっぷんを晴らしているのだ。
そういう上司は自分が嫌われてるだなんて全く思ってない
僕も過去に、そんなタイプの上司に嫌気がさした経験がある。本当に、いい顔していればどこまででもこちらのプライバシーを侵害して、自分の都合で振り回すようなおっさんだった。
さすがに「いい加減にしてくださいよ、話もつまらない上に割り勘だなんて」と言ってしまったが、後悔はしていない。その後は露骨に避けられるようになって清々した。
もしも、身勝手で他人との距離感もうまく図れず、しょっちゅう就業後に飲みやら何やら誘ってくる上司に悩んでいるなら、はっきり言ってあげよう。そういう手合いは、十中八九、自分が嫌われているだなんて露程にも思ってない。むしろ感謝されていると思い込んでいる。
だから相手の勘違いから目を覚ますためにも、はっきりと、迷惑をしていると言ってあげよう。つまらない上司に好かれても損するばかりだ。