3月9~12日に開催されるWRC世界ラリー選手権第3戦に向け、参戦するドライバーたちが意気込みを語った。
2017年シーズン最初のグラベル(未舗装路)ラリーとなるラリー・メキシコは04年にWRCのカレンダー入りした1戦だ。
この時期のメキシコは気温が30度前後まで上昇するほか、スペシャルステージ(SS)が設定される場所も海抜1800メートル以上の高地が中心。空気が薄いことから場所によっては最大20%のエンジン出力低下が見込まれる。
そのためドライバーやマシン、チームスタッフにとってはタフな戦いを強いられる1戦となる。
今年設定されたSSは全部で19。総SS距離は370.46km、総走行距離は897.68kmだ。
また、今年特徴的なのはセレモニアルスタート直後のSS1を首都メキシコシティの憲法広場(ソカロ)で実施する点。この広場はメキシコシティの観光名所となっているほか、映画007シリーズの最新作『スペクター』のロケ地としても知られている。
最上位クラスを争うMスポーツ、ヒュンダイは3台体制で参戦。TOYOTA GAZOO Racing WRTは引き続き2台体制となっているほか、過去2戦は3台体制だったシトロエンはクリス・ミークとステファン・ルフェーブルの2名で挑む。
Mスポーツ/ヒュンダイ陣営のコメントはこちら
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■Mスポーツ
●セバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタWRC)
「僕のWRCデビュー戦はラリー・メキシコだった。だから、毎年返ってくるのが楽しみなんだ」
「ファンも僕たちを歓迎してくれるし、ラリーに対する強い情熱を感じるよ」
「ここ数年で初めて先頭走者ではない状態で挑むことができる。それでも2番手で走行することになるから、ある程度の“掃除”はしないといけないけどね」
「初日はトップから離されすぎないように心がける。2日目からは路面コンディションが安定している所を走れるから、できることをやるだけだよ」
●オット・タナク(フォード・フィエスタWRC)
「メキシコでは暑さと標高に注意を払う必要がある。暑さに慣れるため、少し早くメキシコに向かうよ。戦いが始まったら、全力でプッシュする」
「標高が高いということは、エンジンパワーが低下するということ。つねに丁寧で正確なドライビングで、ペースを落とさないようにしなくてはいけないんだ」
「ステージ自体は走っていて楽しいけれど、午後の走行では路面が荒れているから、よりクリーンな走りが求められる。今年はマシンに空力パーツが追加されているから、こういったものを壊さないように注意しなくてはいけないね」
「先日、テストを行ってマイレージを稼いだけど、それでも今のところグラベルでの経験が不足している。序盤からいいリズムをつかむことが重要だね」
「また、第2戦スウェーデンと同様に“掃除役”も務める必要がある。グラベルでは未経験だから、どういった状況になるのか楽しみだ。いろいろなことを学べそうだからね」
■ヒュンダイ/ヒュンダイ・モータースポーツ
●ティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)
「今週末は、しっかり戦える自信がある」
「ラリー・メキシコは特徴的なイベントだし、2014年大会ではチームに初めてのWRCポディウムをプレゼントした場所なんだ」
「今年の第1戦モンテカルロと第2戦スウェーデンは残念な結果に終わったけれど、今度こそ反撃してみせるよ」
●ダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)
「WRCではメキシコの気温に慣れることが、もっとも重要と言ってもいいくらいだ」
「急な気温変化に慣れるため、少し早めに現地入りする。1番大時なのは、僕たちの身体を気候に適応させることだからね」
●ヘイデン・パッドン(ヒュンダイi20クーペWRC)
「ラリー・メキシコを戦うのが楽しみだ」
「ヨーロッパ圏外でグラベルラリーを戦うのは久しぶりだ。イベントの雰囲気も素晴らしいし、ファンも情熱的。ステージも走りがいのあるものばかりなんだ」
■シトロエン/シトロエン・レーシング
●クリス・ミーク(シトロエンC3 WRC)
「僕にとってラリー・メキシコは経験の少ないイベントのひとつだけど、ステージは走っていて楽しく感じる」
「事前テストでは手応えを感じているから、実際に戦ってみてどういった結果が出るか楽しみだ」
「(標高によって)パワーを失うけど、昨年までのWRカーと同等のパフォーマンスは維持できるはず。気持ちよくドライブできると思うよ」
「ただ、アグレッシブに攻めすぎてタイムをロスしないよう、しっかり自分をコントロールする必要がある」
「個人的にはメキシコシティでSSを走るのが楽しみなんだ。F1のメキシコGPのような雰囲気になれば最高だと思う。007のようにディナージャケットを用意しておくよ!」
●ステファン・ルフェーブル(シトロエンDS3 WRC)
「グラベルというよりも泥だらけだった(2016年の)ラリーGBを除けば、グラベルラリーを戦うの昨年9月のラリー・ポーランド以来のことになる」
「事前テストで感覚を取り戻すことができたし、マシンのセットアップに関しても自信を深めることができた。リラックスした状態でラリーに臨むことは、なによりも重要なんだ」
「ラリー・メキシコを戦ったのは2015年の一度きりだけど、戻ってくることができて嬉しく思う。とても友好的で熱心なファンが多いし、(市街地SSが行われる)グアナファトの景色が素晴らしいんだよ」
■トヨタ/TOYOTA GAZOO Racing WRT
●ヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)
「昨年優勝したラリー・メキシコには、とても良い思い出がある。しかし、勝てた理由のひとつは出走順が遅かったこと。早い出走順のドライバーたちが苦労しながら走って掃除をしてくれた、クリーンな状態のグラベルコースを走行できたことだと思っている」
「(先頭走者を務める)今年は逆の立場になるし、総合5位以内に入ることができたら、喜ぶべきだろう」
「今後については、つねにベストを尽くし、安定性を保つことができれば、シーズンが終わるころには選手権で良い位置にいるかもしれない。もっとも、今年は僕たちのチームにとって最初のシーズンだから、それが1番の目的ではないけどね」
「ラリー・メキシコは、いつもとても良い雰囲気なんだ。去年、メキシコのファンはぼくのことを『ラ・バラ』と呼んでくれた。『弾丸』という意味らしいよ。(今年も)ファンに喜んで貰えるよう頑張りたい」
●ユホ・ハンニネン(トヨタ・ヤリスWRC)
「ラリー・メキシコは2011年に1度、出走しただけだけど、個人的に好きなラリー。グラベルのコースを走るのは楽しいけど、金曜日に用意されるロングSSの『エル・ショコラテ』は、僕にとって多いなチャンスになるかもしれない。今回、出走順は良いはずだから、それを最大限に活用して戦いたいと思う」
「僕にとって、前戦のラリー・スウェーデンは良いラリーではなかったけど、今後の戦い方について多くのことを学べた。特に、事前のテストを通じて、自分自身の準備ができていると確信を得た状態になることが重要なんだ」
「ラリー・メキシコに向けたテストでは、サスペンション等のセッティングを多少変えた程度だったけど、満足できる内容だった。自信を持って本番に臨めるよ」
「エンジニア陣がエンジンに施した作業は完璧で、高い標高でもいつも通りに運転できるのではないかとさえ感じるほどだよ」