ドライバーの長時間労働や残業代の未払いが話題になっているヤマト運輸。3月7日には、同社が27年ぶりに基本運賃を引き上げると報じられた。
日本経済新聞によると、同社は9月末までに宅配便の基本運賃を引き上げることにしたという。無料の再配達削減も併せて目指すが、実現が難しい場合には有料化する可能性もある。またアマゾンジャパンなどの大口顧客とも値上げに向けて交渉を行うという。
インターネット上には「値上げは仕方ないと思う」と同社の決定を支持する声が溢れている。
著名なブロガーたちもヤマトの決定を歓迎しているようだ。社会派ブロガーのちきりんさんは「全面的にヤマトを支持するよ」とツイート。山本一郎さんも「ヤマト頑張れとしか」とヤマトにエールを送った。
「値上げをしてでもサービスの質を保つという時期に来ている」
なぜ27年ぶりに値上げに踏み切ったのか。ヤマト運輸の担当者は「値上げをせずにすむのが一番よいのですが」と断った上で、次のように語っていた。
「値上げは消費者への影響が大きいため、価格を維持するに越したことはありません。そのためこれまでも価格は据え置いたままでした。しかしサービスの維持を考えたときに、値上げをしてでもサービスの質を保つという時期に来ていると思います」
現在、ドライバーの負担軽減を求めて、労使交渉中だというヤマト運輸労働組合の担当者は「会社からまだ何も聞いていないのでコメントすることはできない」と答えるに留まった。
このようにヤマト運輸が値上げを決定し、それを支持する声も多いが、一方でアマゾンとの交渉は難航するのではないかという不安の声も上がっている。
「アマゾンが応じるとはとても思えない。決裂した結果として、アマゾンの配送業者が日本郵便に変わるって言うのがオチのような気がしてならない」
2013年には、佐川急便もアマゾンに値上げを求め失敗している。運賃の値上げを求めた佐川に対し、アマゾンは逆に運賃の引き下げを要求してきたという。結局、佐川急便はアマゾンとの契約を打ち切った。
「プライム会費値上げして、ヤマトにそのまま払ってあげてよ…」
これまでヤマト運輸については、ドライバーの長時間労働や未払い残業代の支払いなどが取り沙汰されてきた。ドライバーが休憩を取りやすくなるよう、昼の時間指定配達を見直すという報道もあった。こうした中で今回の値上げ決定が発表された。
これまで27年間も値上げをしなかったのだから、消費者向けの宅配便価格を見直すのは仕方がないともいえる。ヤマトの法人契約は宅配便の9割を占める。アマゾンなどの大口顧客が、理不尽な低価格での契約を強いているのであれば、それを見直すよう交渉することも重要だ。
値上げで増収が実現すれば、人材確保やドライバーの昇給につながる可能性は高い。しかし本当に値上げ分が従業員に還元されるのかまだわからない。ツイッターでは、「ヤマト運輸の値上げは良いと思うけれど末端の運んでくれてる人達に還元されるといいなぁ」といった声のほか、
「プライム会費値上げして、ヤマトにそのまま払ってあげてよ…」
とアマゾンに呼びかけるツイートも寄せられていた。