ウインターテストには、普段グランプリでは見かけない人々と出会うことが少なくない。そんな人たちに、「あなたは何しに、カタロニア・サーキットに来たのか?」を尋ねてみる特別企画。第2回のF1合同テストに現れたのは、昨年引退したF1チャンピオンの父親ケケ・ロズベルグだ。
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2回目のテストを前日に控えた3月6日、サーキット近辺のホテルには続々と関係者がチェックインしている。その中にケケ・ロズベルグの姿もあった。ロズベルグといえば、1回目のテストにサプライズ登場したことは、前回伝えているが、まさか一緒にホテルにチェックインか?
「いやいや、息子はいない。俺の友だち数人とバルセロナに来たんだ」
それにしても、息子のニコは昨年末で引退している。ケケはなぜ、バルセロナに来たのか?
「俺はニコが生まれる前からF1を見てきて、自分が引退した後も、ずっとF1をフォローし続けてきた。ニコがF1ドライバーのなる前もね。息子が引退しても、俺にとってのF1は変わらないよ」
では、ケケにとって、レギュレーションが変更され、新しくなったF1はどのように映っているのだろうか?
「まだわからないよ。だから、バルセロナにやってきたんだ。自分の目で確かめようと、ね」
確かに1回目のテストでは、わからないことがたくさんあった。例えばベストタイムである。下記のタイムは4日間の各ドライバーのベストタイムをランク付けしたものだ。
PosDriverTimeTireday1V.ボッタス1'19.705US3月1日2S.ベッテル1'19.952S3月1日3K.ライコネン1'20.872S3月2日4L.ハミルトン1'20.983SS2月28日5D.リカルド1'21.153S3月1日6J.パーマー1'21.396S3月1日7M.フェルスタッペン1'21.769S3月2日8N.ヒュルケンベルグ1'21.791S3月1日9M.エリクソン1'21.824SS3月1日10F.マッサ1'22.076S2月27日11R.グロージャン1'22.118SS3月1日12K.マグヌッセン1'22.204SS2月28日13L.ストロール1'22.351S3月1日14A.ジョビナッツィ1'22.401US3月2日15E.オコン1'22.509SS2月28日16S.ペレス1'22.534SS3月2日17S.バンドーン1'22.576US3月2日18F.アロンソ1'22.598US3月1日19D.クビアト1'22.956S3月1日20C.サインツJr.1'23.540M3月1日21A.セリス1'23.568US3月1日
これらのタイムがどのコンパウンドで記録されたものなのか、タイムの右横にアルファベットで記してみた。つまり、タイヤも異なれば、記録した日付も違うので、タイムをそのまま鵜呑みにできない。
あるエンジニアによれば、「今年のタイヤはソフトとスーパーソフトの差が最も小さく、コンマ4秒程度」だという。そう考えると、キミ・ライコネンがソフトタイヤで出したタイムはかなり良いことがわかる。
またライコネンがベストタイムを出した最終日はお昼過ぎまで散水車によって水が撒かれたウエットコンディションで、最後にドライで走ることができたものの、路面はグリーンな状態だった。それでも、同じ日にベストタイムを出したレッドブルのマックス・フェルスタッペンよりコンマ9秒速かった。
1回目のテストでのフェラーリの速さが本物かどうか。それ以外にも、1回目のテストでロングランを繰り返していたメルセデスAMGの速さはいったいどれほどなのか。ホンダとともにパワーユニット由来のトラブルで走り込みができなかったレッドブルとトロロッソはどこまで巻き返してくるのか。
またルーキーのランス・ストロールのクラッシュによって大幅にテストスケジュールが遅れてしまったウイリアムズの実力は如何程なのか。ちなみにウイリアムズは3月6日に当初3月7日と8日にステアリングを握る予定だったストロールに代わって、前半2日間はフェリペ・マッサを起用すると発表。臨戦態勢でテストに挑む。
息子がいなくなっても、父親のケケがバルセロナにやってくるほど、この2回目の合同テストは多く関係者が注目している。