2017年から全日本スーパーフォーミュラ選手権に参戦するピエール・ガスリーが3月5日、鈴鹿サーキットで行われた2017モータースポーツファン感謝デーに登場。6~7日に同サーキットで開催されている合同テスト前に、SF14での初走行を披露したが、ガスリーにとって、この走行は特別な意味を持つものだった。
■スーパーフォーミュラは「乗っていて楽しい」
2016年のGP2でチャンピオンを獲得したガスリー。レッドブルの若手育成ドライバーが日本に襲来し、レッドブルカラーのSF14を操るということから、オフシーズンから大きな注目を集めている。
そんなガスリーはモータースポーツファン感謝デー2日目早朝に行われたスーパーフォーミュラ公開テストに参加。グリーンシグナルと同時にコースインしていった。
このセッションでは、本格的なペースアップはしなかったようで15番手タイム。午後に行われたオープニングラップでは18番手からスタートし、この日が鈴鹿初走行とは思えない走りで、ライバルたちと本番さながらの接近戦を演じてみせた。
初めて操ったSF14について、ガスリーはGP2マシンとはキャラクターがまったく異なるとコメント。その感触は上々だったという。
「新しいマシンとタイヤで、(GP2と比べると)ものすごくキャラクターが違うと感じた」とガスリー。
「それでも良いフィーリングだったし、乗っていて楽しいマシンだと思ったよ」
「それよりも、僕にとって鈴鹿サーキットという歴史があり、F1も開催されるコースを走れたことがは良い体験になったね」
■ビアンキとは親友だったガスリー。走行前には献花も
こう語るガスリーにとって、鈴鹿は特別な思いがある地。ガスリーは、2014年のF1日本グランプリでクラッシュし、その後遺症から翌年7月に亡くなったジュール・ビアンキと切磋琢磨してきた関係なのだ。普段から仲も良かったと言い、ガスリーは尊敬するドライバーにビアンキの名を挙げるほど。
そのためガスリーは4日(土)にコースを下見した際、悲劇の現場となったダンロップコーナーへ立ち寄り、献花を行った。
「ジュールとは友達だったし、彼を見習って僕も成長できた部分もあった」
「レースに対する姿勢などを尊敬していたし、同じくトップを目指しているフランス人ドライバーも、そう感じていると思うよ」
「だから、鈴鹿に着いた時から彼のことが頭から離れなかったし、感情的になる部分もある。(SF14で走った)1周目も彼のことを思い出したね」
■開幕戦に向け「周りの状況は気にしない」
ビアンキへの思いを胸に鈴鹿を駆けたガスリー。今シーズンのスーパーフォーミュラに向けては、開幕前テストが計4日間(鈴鹿サーキットと富士スピードウェイで2日間ずつ)しかないため、限られた時間を少しでも有意義に使いたいと語った。
「開幕まで走れる機会が限られるから、チームと一緒に少しでも収穫のあるものにしていきたいね。(ファン感謝デーでの)公開テストの感触からすると、もっと良くしていかなければいけないところもあるしね。少しでも多く周回して、マシンとタイヤ、コースのことを理解したい」
「テストで雨が降ってたとしても、それは僕にとって良い機会。このマシンでウエットコンディションも経験しておかないといけないからね。とにかく周りの状況は気にせず、開幕戦までにできる限りのことをしたい」
いよいよスーパーフォーミュラでの戦いが始まったガスリー。昨年のGP2チャンピオンで、将来はF1へのステップアップも期待されているだけに、ファン感謝デー中は早くもファンからサイン攻めにあうなど、高い人気を誇っていた。この注目に応える走りができるか、まずは開幕前テストでの結果に期待したい。