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【特集】「planetarian」プラネタリウム特別版を実際に体験、あの感動が全天映像で蘇る

2017年03月06日 21:04  アニメ!アニメ!

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【特集】「planetarian」プラネタリウム特別版を実際に体験、あの感動が全天映像で蘇る
「プラネタリウムはいかがでしょう。どんな時も決して消えることのない、美しい無窮のきらめき」

『planetarian』がついにプラネタリウムで見られる。公開初日の3月4日(土)、福島県にある郡山市ふれあい科学館スペースパークを取材した。

Keyによるキネティックノベル『planetarian(以下、プラネタリアン)』は、2004年に配信でリリースがスタート。ハードSFを下地とした優れたシナリオ、音楽が高く評価され多くのファンを生みながら様々なプラットフォームに移植され愛されてきた。12年を経た2016年には配信版『プラネタリアン~ちいさなほしのゆめ~』と劇場版『プラネタリアン~星の人~』を発表。ファンを公言する津田尚克監督とdavid productionによってアニメ化が実現した。

そして今年、プラネタリウムを舞台とした感動のSF作品が現実のプラネタリウムで上映される。津田監督も力を込めたと語る「特別投映」のシーンは、本編を見た多くの人が心動かされるシーンだ。プラネタリウム全天映像は作品が現実と接着する、不思議な体験をもたらしてくれるはずだ。
アニメ!アニメ!編集部は一路、郡山駅へ飛んだ。

▲やまびこで向かう。関東圏なら青春18切符を使って鈍行でのんびり、というのも乙なものだ

▲駅構内にはお土産屋さんやレストランスペースも

▲駅西口を出て右手にすぐ見える建物。高い!


JR郡山駅はJR東京駅から新幹線で75分ほど。広々としたコンコースを抜けて西口へ出る。ロータリーを前にして右手を見るとすぐに目的の複合ビル「ビッグアイ」が視界に飛び込んできた。『プラネタリアン』のプラネタリウム上映までまだ余裕があったので、我々は駅テナントでうどんに舌鼓を打つ(注文したメニューは郡山特産物ではないという凡ミス!)。

▲もつうどん定食。九州限定メニューでした(なぜ!)。

▲ビッグアイ。上層階の球体にプラネタリウムも入っている。麓から見ても高い!

ちょうどいい頃合い、郡山市ふれあい科学館へ向かう。23階にあるスペースパーク(プラネタリウム)は世界で一番の高所にあるプラネタリウムとしてギネスに認定されているだけあり、見渡せる景色は格別だ。

エントランスには『プラネタリアン』のモデルとなった明石市立天文科学館のカール・ツァイス・イエナ機の巨大な写真なども展示されている。上映を心待ちにしたファンや家族連れが入場待機列をつくっていた。入場時にはコンパニオンロボット・ほしのゆめみとイエナさんのツーショットポストカードも配られているので忘れず受けとろう(数量限定先着順)。

▲スペースパークへ到着

▲エントランスから長い行列が待っていた

▲明石市立科学館からイエナさんの写真が大きく張り出されている

▲エントランスのモニターで映像が流れる。日本初公開!

▲ポストカードを入口で配布しているので忘れずに。ゆめみとイエナのツーショット!

場内は国内最大級のドーム、そして傾斜のあるひな壇の客席。中心にデジタル投映機「スーパーヘリオス」が鎮座している。内装も清潔感がありとても居心地のいい座席だ。
解説員さんが上映前にアナウンスする。星座の見方や今の郡山市の風景が全天映像で映し出される。すばらしい!
話術にも味があり、ぐっと引き込まれる。日によって違う解説員さんが担当するとのことで、それぞれ個性のあるトークを聞くことができる。場内が暗くなる直前、ゆめみ役のすずきけいこさんから寄せられたメッセージがドームに投映された。喜びの言葉が綴られていて特にゲームリリース時からのファンにとってはたまらないものがあるはず。

さあ、本編の上映だ――。
ドームに360度映し出される映像体験は今までとは全く違うものだった。その中で進んでいく屑屋とゆめみの物語。特別投映のシーンでは、先日お話をうかがったD&Dピクチャーズの中山 武大プロデューサーの言葉にあった通り(関連記事)、新規録音ボイスでの春の星座解説が聞け、視線を落とせば、ゆめみが実際にそこに立って解説してくれているのでは、というほどの雰囲気で格別の体験――。

▲投映後、正面から撮影したもの。ひな壇の座席は快適

▲操作盤。各地のプラネタリウム毎に作りが違い、プラネタリウムファンのチェックポイントでもあるそう

約40分の投映が終わると、場内から自然と拍手が生まれ、温かいムードに包まれた。

場内が明転してからは多くの人が投映機を撮影していた。解説員の安藤さんの周りにも多くの人が集まる。プラネタリウムにいる解説員のみなさんは気さくで、疑問点などがあれば答えてくれるのだ。『プラネタリアン』への思いを告げる人、プラネタリウムの構造を聞く人などが安藤さんを囲み賑わった。

座席にはプラネタリウム映像を制作したD&Dピクチャーズ・中山プロデューサーの姿も。世界初公開となる投映が無事終わり、ひとまずホッとした表情を見せていた。コメントを求めると、準備してませんでした、と照れながらも「やっと、ですね。嬉しい気持ちと、実際に見てフィードバックもあったので、これからまた次に繋げていきたいと思います」と語ってくれた。

最後に解説員の安藤さんからも本作を上映することに対する感想をうかがった。

「全国一斉に配給されるシネコンと違ってプラネタリウムは各館が自分たちで上映作品を決めるものですから、『やろう!』と決めないと掛からないわけです。今回、D&Dピクチャーズさんからお話をいただいて、この春にやろうとみんなで決めました。ですからまずは完成が間に合ってよかったです(笑)。作品のテーマとしてはプラネタリウムで見るからこそ感じられるものは大きいなと強く思いましたし、この作品が多くの方から愛されているんだと言うことは、上映を決めて宣伝している中で皆さんからいただくメッセージなどから感じていました」

当プラネタリウムで掛かる他の映像作品では拍手が出ることはまずないという。

「通常の投映ですと、解説員が話したことに対する拍手が出ることはありますが、上映が終わってからというのは、やっぱりみなさんの思いが形になったんだなと実感しました」

上映は4月5日まで1日1回の投映が続く。

「当館は世界一高いところにあるプラネタリウムとしてギネス登録されていますが、下はデパートなんです。ですから『プラネタリアン』の舞台となった花菱デパートに近い作りですよね。作品では星のない世界というのが非常に不自然なものだということが描かれていますが、まさにプラネタリウムはそういうものなんです。星を見て地球を感じる。自分たちがどういうところにいるのか、と知ることはとても大切ですよね。なるべく最高の環境で見ていただけるように我々も準備していますので、ぜひいらしてください」

『プラネタリアン』だけでなく、世界初公開となる映像がこの施設では上映されている。

「別のプログラムではオーロラのリアルタイム4K動画が見られる番組があります。目で見たスピードそのままがプラネタリウムに投映されるというのはこれまで実はどこにもなかったもの、世界初公開なんです。『プラネタリアン』をご覧いただいた際には、ぜひこのプログラムも一緒に堪能してください」

各番組の空席状況などは館まで直接電話をすれば教えてくれるとのこと。また、「オフ会に!」とオススメしてくれたのは20人以上での利用で団体割引と予約だ。グループで参加して、感想を言い合うのは楽しそうだ。

▲お話をうかがった解説員の安藤享平さん。独特の間合いでしゃべる解説に味がある

郡山市ふれあい科学館スペースパークではじまった『プラネタリアン~ちいさなほしのゆめ~プラネタリウム特別版』は、各地のプラネタリウムで上映の要請があれば上映可能となる。そのための第一歩を踏み出した。遠方からは足を運びづらいこともあるかも知れないが、春休みを使って、ちょっとした旅行を兼ねてプラネタリウムを見に行くというのはとても贅沢な時間の過ごし方ではないだろうか。