メルセデスAMGが相変わらずの速さと信頼性の高さを披露した1回目のバルセロナ合同テスト。しかし、日本人にとって、もっとも気になるのはマクラーレン・ホンダの状況だろう。
結果だけをなぞれば、4日間のベストタイムの総合成績は21人中、バンドーンが17位、アロンソは18位。トップのボッタスとのタイム差は、それぞれ2.871秒と2.893秒。走行距離では昨年の1196kmを230km下回る968.24kmにとどまった。
そのため、スペインの大手新聞のマルカは「マクラーレン・ホンダの悪夢は続く」と報じ、ASは「マクラーレン・ホンダは昨年よりも周回数が少なく、悪くなっている」と伝えた。テストが行なわれているのがアロンソの地元スペインということもあり、スペインのメディアがこぞってホンダ批判を繰り返したため、不安はさらに増幅されてしまった。
だが、結果を冷静に分析すれば、ベストタイムでは昨年はトップのベッテルから23人中18番手のアロンソが3.192秒、22番手のバトンが3.925秒離されていた。つまり、今年はすでにコンマ3秒から1秒、差が縮まっているのである。
マクラーレン・ホンダよりも懸念されるのはレッドブルとフォース・インディアで、昨年は1回目の段階で2チームともメルセデスAMGより速いタイムを刻んでいたが、今年は上回れないまま1回目のテストを終えた。フォース・インディアに関していえば、開発ドライバーのセリスですら、昨年はベストタイムでメルセデスAMGの2人より速かったのに、今年は21人中、最下位に終わった。
さらにマクラーレン・ホンダより厳しい結果となったのはトロロッソである。ベストタイムで2人ともマクラーレン・ホンダを下回っただけでなく、走行距離でもマクラーレン・ホンダより100km以上少ない851.87kmに終わった。それでも、スペイン紙が同じスペイン人のカルロス・サインツJr.がいるトロロッソよりもマクラーレン・ホンダに厳しい評価を与えているのは、それだけ期待が高い表れだと考えていいだろう。
もちろん、1回目のテストの結果は、マクラーレン・ホンダにとって決してポジティブではなかった。しかし、必ずしもネガティブなものばかりでもなかった。最終日に1周しか走行できなかったトロロッソのフランツ・トスト代表でさえ、「ハースやルノーが好調のようで手強そうだが、われわれはまだプログラムを完了していない。全体的に見て、かなりポジティブだ」と語っている。
それはホンダの長谷川祐介総責任者も同じである。
「1年前のテストと比べても、状況はそんなに変わってはいません。だから、(相対的な)パフォーマンスを判断するのは、まだ全然早い。ただ、去年と同じじゃダメだろうという思いは正直あります。まだまだこれからです」
昨年のテストでも1回目にトラブルに見舞われ、不安なスタートを切っていたマクラーレン・ホンダは、2回目のテスト初日にアロンソがその日の3番手のタイムをマークしていた。マクラーレン・ホンダの実力を判断するのは、2回目のテスト初日まで待つことにしたい。