2017年03月05日 11:23 弁護士ドットコム
電通の過労死事件などを受けて、労働問題に関する意識が社会的に高まる中、日本弁護士連合会(日弁連)は、労働分野の法制度や手続きなどの「ワークルール」に関する教育を推進する法制度を求める意見書を発表した。
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意見書では、労働者の権利が周知されていない現状に触れ、「労働者自身がワークルールの基礎的な知識を習得し、具体的な行動につながるための実践的な教育と支援が必要」と法制度の必要性を指摘。
具体的には、児童・生徒の学習カリキュラムで、適切なワークルール教育を実施することを国や地方公共団体の責務とし、学校教育の段階で、労働法制に関する知識や、紛争が起きた場合の解決のあり方、交渉の仕方などを教育することなどを求めている。また、学校教育だけでなく、事業主が労働者に対して、研修などを通じてワークルールに関する知識を教育することも求める。
3月1日に東京・霞が関の弁護士会館で行われた記者会見で、日弁連労働法制委員会事務局長の菅俊治弁護士は、推進法を制定する意義について、「単に労働法制の知識を教えるだけではなく、法律を実際に使って、職場での問題を自分たちで解決できる。そういう力をはぐくみたい」と指摘。「ブラック企業と呼ばれるような、法律を遵守しない経営者が競争で勝つのではなく、ルールを守った事業体が競争できる社会になってほしい」と述べていた。
(弁護士ドットコムニュース)