ルノーF1チームは、開幕戦オーストラリアGPまでに、リヤウイングピラーの設計を変更しなければならなくなった。その設計コンセプトがレギュレーションに違反するとして、FIAから勧告を受けたためだ。
ルノーR.S.17のリヤウイングサポートピラーのデザインについては、2月21日にロンドンでこのクルマが発表されるとほぼ同時に、ライバルチームから疑問の声が上がっていた。
問題のサポートピラーは、リヤウイングのメインプレーンには取り付けられておらず、DRSのアクチュエーターポッドを介してウイングにつながっていたからだ。
F1テクニカルレギュレーションの3.9.6項によると、リヤウイングサポートは、同3.9.1項で規定されるリヤウイング・メインプレーンに達するところまで伸ばされていなければならない。
空力的な理由から、チームはリヤウイングピラーがウイングにつながるポイントを、できるだけ前方へと移動させてきた。昨年までのレギュレーションの下で最も一般的だった手法は、メルセデスのピラーのように、メインプレーンの下面につなげて剛性の確保に利用するというものだった。
また、レッドブルとフェラーリを含めたいくつかのチームは、リヤウイングの空力特性の改善を狙って、一部のル・マン・プロトタイプカーに見られるような、スワンネック(白鳥の首)タイプのサポートを用いていた。今季のルノーのアイデアは、それをさらに一歩推し進めたもので、ピラーはDRSポッドに直接つながっていた。
ルノーがこれを合法と考えた根拠は、レギュレーションのDRSに関する部分に、ピラーサポートを「DRSの作動のみにかかわる必要最小限の部分」につなげることは許される、とあることだった。
しかし、ライバルチームの見方、そして今回の勧告でFIAも支持した見方は、問題のDRS作動部と取り付けポイントが、レギュレーションで言及された「必要最小限の部分」よりはるかに大きく、レギュレーションに適合しないというものだ。
公式には表明されていないものの、ルノーはピラーがメインプレーンに交わるかたちに設計を変更するよう、勧告を受けたものと見られ、これからメルボルンでのシーズン開幕戦に間に合うように、必要な作業を行うことになる。
ルノーが採用したデザインのアドバンテージは、リヤウイングとピラーの空力的干渉が減ることにあると考えられ、それによってDRSの効果を高めようとしたようだ。もっとも、ライバルチームの中には、ルノーのデザインがそれほど大きな効果をもたらすとは考えず、あえてレギュレーション違反の可能性を指摘しなかったチームもあるという。