2017年03月04日 10:43 弁護士ドットコム
子連れファミリーが外食先で困るのが、食事のボリューム問題だ。子ども向けメニューをうたった商品がない場合には、大人と同じメニューを注文するほかない。しかし「ボリュームが多いと、残してしまって申し訳ない。かといって、親の皿から取り分けしても、2/3くらいは子どもが食べてしまう」(マリ子さん・30代)からだ。
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マリ子さんには、小学校低学年の子どもがおり、この問題に悩んでいたという。しかし、最近「ボリュームのあるチェーン系定食屋」という選択肢があることを発見した。「ご飯はおかわり無料で、店内にお釜ごと置かれています。子連れで行くと、取り分け用に茶碗をもらえるので、ご飯はそこからとり、おかずは私のお皿から子どもに取り分けています。夫と私の2食分だけしか頼んでいませんが、家族全員が満足できるんです」。
ただ、「3人で入店して、2人分の分量しか頼まないのは、問題があるのではないか」と不安もあるそうだ。入店したら、人数分を注文する義務が客にはあるのだろうか。大久保 誠弁護士に聞いた。
「例えば、街のお肉屋さんに数人でお肉を買いに行ったとしても、全員がお肉を買わなければならないということはありません。しかし、飲食店、特に店内でテーブル席に着席して食事をすることが予定されているお店の場合は話が変わってきます」
大久保弁護士はこのように述べる。
「そのようなお店は、最大何名の客を入れられるか、回転数はどのくらいか、といったことを元に売上予測を立て、実際の売上額からお店の賃料などの経費を差し引いて利益を得ています。お店は、客に着席を認める前提として、注文をしてもらうことを当然に期待していると考えられるでしょう。
つまり、それぞれの客が注文をすることが前提の契約が成立していると考えられます。
したがって、このようなお店を利用する以上、客は最低限、一人一品は注文をしなければならないでしょう」
ただし、今回のように子どもがいる場合も注文する義務があるのか。
「体の小さな子どもは、大人と同じような量を食べることはできませんので、お店としても、大人と同様に一人一品以上注文するよう要求しない場合が多いのでしょう。しかし、メニューに子ども用の料理や料金を設定しているようなお店であれば、それらのうち、少なくとも一品程度は注文しなければならないと考えられます」
では、客が全員大人だった場合、人数分の料理を注文しない客に対して「退店命令」を出せるのか。
「入店をしたものの何ら注文をしない大人がいた場合、退店を命ずることは許されるでしょう。もっとも実際のところは、数人で来店したものの何ら注文をしない客が1人程度の場合は、うるさく言わなくとも他の客の注文で売上が十分に立つことから、お店は退店まで要求していないのだと思われます」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
大久保 誠(おおくぼ・まこと)弁護士
ホームページのトップページに写真を掲載しているように、野球が趣味です。
事務所名:大久保法律事務所
事務所URL:http://www.ookubolaw.com/