魚喃キリコの漫画『南瓜とマヨネーズ』が実写映画化され、11月から東京・新宿武蔵野館ほか全国で公開される。
『南瓜とマヨネーズ』は、同棲している無職のミュージシャンの恋人・せいいちの夢を叶えるために、密かにキャバクラで働く女性・ツチダを主人公にした作品。ツチダが店の客・安原の愛人になって生活費を稼いでいることを知ったせいいちが心を入れ替えて働き始める一方で、ツチダが昔の恋人・ハギオと再会し、彼との関係にのめり込んでいく、というあらすじだ。
せいいちとハギオの間で揺れるツチダ役を演じるのは臼田あさ美。せいいち役を太賀、ツチダが忘れられない昔の恋人・ハギオ役をオダギリジョーが演じる。さらにツチダのキャバクラの同僚役に清水くるみ、ツチダと愛人関係になる安原役に光石研がキャスティングされているほか、せいいちのバンド仲間を浅香航大、若葉竜也、大友律、岡田サリオが演じる。
メガホンを取ったのは『ローリング』『パビリオン山椒魚』などの冨永昌敬。音楽監修と劇中歌をやくしまるやつこが担当する。
臼田は昨年10月に行なわれた撮影を振り返り、「映画を作りました。と、こうして皆様に伝えられること、ツチダとして過ごした時間、せいちゃんが太賀さんだったこと、ハギオがオダギリさんだったこと、すべてが尊くて、大切で、嬉しいです」とコメント。
また原作の映像化に際して4年前から臼田への出演をオファーしていたという冨永監督は「魚喃さんが描いたツチダそっくりな人を探しました。その女優はすぐに見つかりましたが、似ているのは顔だけではなかった気がします。ツチダは臼田さん以外にありえません」と信頼を寄せているほか、映画を見た原作者の魚喃は「みごとにのまれた、感謝!」と賛辞を贈っている。
■臼田あさ美のコメント
映画を作りました。と、こうして皆様に伝えられること、ツチダとして過ごした時間、せいちゃんが太賀さんだったこと、ハギオがオダギリさんだったこと、すべてが尊くて、大切で、嬉しいです。そして4年も前に声をかけてくださった監督の冨永さんと、やっとの想いで特別な日常を収めました。1999年の魚喃キリコさんが誕生させたツチダが2017年の今も相変わらず元気でやってます。
■太賀のコメント
映画に参加するにあたって原作を読ませて頂きました。自らの感情のわからなさに立ち止まる登場人物に強烈に共感を抱きました。あたり前の事なんて何一つもない、男女の平凡な奇跡と、葛藤。この原作のもつ普遍的な尊さがどうか映画に宿ってくれと、撮影に臨みました。
冨永組として「南瓜とマヨネーズ」を作っていく過程は、役者としてあまりにも濃密で幸せな時間で、撮影を終えた今でも、心地の良い余韻がまだ残っています。原作ファンの方にも映画ファンの方にも納得して頂ける作品になっていると思います。
■冨永昌敬監督のコメント
主人公ツチダの望みは「せいちゃんの歌を聴きたい」というごく些細なものでした。せいちゃんが軽い性格だったら一秒後にはイントロが聴けるかもしれないほど、些細な望みです。もの作りというのは自意識と生活と時間のあいだで、その三つを削るようにして為されるものである。などと断言するつもりはありませんが、ある意味で時間にボロ負けしてしまったのがこの二人なのだと思います。結末にはツチダの涙とせいちゃんの歌声と、二人の爽快な敗北が待っています。と言ったところでネタバレ全然してません。この映画が目指したのは、結末を先に知ってもまったくネタバレにならない魚喃さんの作品の、とりわけその描写の強さでした。なので、まず、魚喃さんが描いたツチダそっくりな人を探しました。その女優はすぐに見つかりましたが、似ているのは顔だけではなかった気がします。ツチダは臼田さん以外にありえません。臼田さん本人もそう思ってるはずです。
■魚喃キリコのコメント
・映像化された『南瓜とマヨネーズ』を見た感想
みごとにのまれた、感謝!