3月になり、新生活に向けて物件探しを始める人も多いことだろう。新しく一人暮らしを始める人、同居を始める人など様々だが、シェアハウスという選択肢に興味のある人も少なくない。
こうした中、シェアハウス総合情報サイト「ひつじ不動産」を運営する、ひつじインキュベーション・スクエアは3月2日、2016年までのシェアハウス市場動向について発表した。
初心者には、ワンルームマンションをリノベーションした物件が人気
2013年に累計問い合わせ件数が10万件を突破した同社は、2016年末には20万件を突破。3年で倍増という数字からも、シェアハウスへの人気ぶりが感じられる。特に20代後半から30代の女性からの問い合わせが多いという。
今人気が高いのは、部屋に水回りの設備が一通りそろいながらも共有スペースもある、ワンルームマンションをリノベーションした物件だそうで、同社広報担当者は
「一般的なワンルームマンションは空き部屋が増加しており、入居者を集めるには内装を新しくするだけでは難しい現状です。部屋にあるキッチンやお風呂などの設備は残しつつ新たに共有スペースを設けた物件は、一人暮らしの快適さと緩やかな人との繋がり、両方を楽しめるとあって人気です。初めてシェアハウスへの入居を考えている人にとっては、こうした物件のほうが心理的なハードルが低く、歓迎される傾向にあります」
と、人気の理由を分析する。また、自身もシェアハウスの住人ということで
「以前は1Kの部屋に住んでいましたが、調理スペースが狭く不便でした。今私が住んでいるシェアハウスは、水回りは共有なものの、広々とした調理場でのびのび料理できますし、お風呂も足を伸ばしてゆったり浸かることができます。1Kの時よりプライベートが充実しています」
と、経験者ならではの良さを教えてくれた。
以前は非正規と学生の居住者が半数以上だったが正社員が増加
居住者にも変化が見られている。正社員の割合は、2008年の調査時は26%だったが、2016年では約5割まで増加した。また近年では20代前半男性からの問い合わせも微増しており、担当者は
「テラスハウスの放送が始まったあたりから増えたので、その影響ではないでしょうか」
と分析する。「テラスハウス」(フジテレビ系)は2012年から2014年まで放送されていた、シェアハウスを舞台にしたテレビ番組。若者を中心に高い人気を博し、シェアハウスの概念を全国に広めた。
さらに、
「20代から30代女性の入居や問い合わせが多いのはこれまでと変わりませんが、子どもがいるシングルペアレントやファミリー向けのシェアハウスが増えてきている実感があります」
とのことで、多様な世帯を受け入れる器として、シェアハウスも変化しつつある。
厚生労働省の調査によると、シングルペアレントは2012年時点で約91万世帯と、1994年より約1.6倍増加している。こうした世帯構造の変化に伴い、病児保育も対応可能な保育所が併設されたシングルマザー向けシェアハウスも登場しているという。
これまでの「シェアハウスの入居者は独身女性や学生」というイメージは、過去のものになりそうだ。