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AV出演強要問題、議員会館でシンポ「政治側でも議論進める」超党派の議員が発言

2017年03月02日 21:03  弁護士ドットコム

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アダルトビデオ(AV)出演強要問題をめぐり、NPO法人ヒューマンライツ・ナウ(HRN)は3月2日、東京・永田町の参議院議員会館で、被害の根絶について考えるシンポジウムを開いた。公明党の佐々木さやか参院議員や、民進党の中川正春衆院議員ら「超党派」の国会議員も駆けつけた。


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●HRNは「刑事罰」も含めた規制を提言

HRNは、1年前の2016年3月3日、AV出演強要の被害についてまとめた報告書を発表。報告書によると、若い女性たちが「タレントにならない?」などとスカウトされ、AVに出演するという意識がないままプロダクションと契約したあと、「親にばらす」「仕事を断れば違約金」と脅かされて、出演を余儀なくされる被害が相次いでいるという。


HRNの事務局長をつとめる伊藤和子弁護士は「AVプロダクションやメーカーには、監督官庁もなく、風営法の適用もないため、違法行為を是正・救済する仕組みがない」「強要被害にふさわしい刑事罰もないと考えている」と指摘した。


昨年には、大手プロダクションの社長らが労働者派遣法で摘発される事件もあったが、「モグラたたきの状況になっている」(伊藤弁護士)という。HRNは、監督官庁を設置することのほか、真実を告げずに勧誘したり、意に反して出演させることを禁止すること、それに違反した場合は「刑事罰」を科すことなどを提言している。


●「超党派であと押ししたい」

この問題をめぐっては、内閣府が昨年から調査を重ねているほか、公明党が昨年12月に「AV出演強要問題対策プロジェクトチーム」(座長:佐々木議員)を発足させるなど、政治、行政の間でも動きが出てきている。この日のシンポジウムには「超党派」の議員たちも出席して発言した。


佐々木議員は、「ライトハウスから被害相談・支援について聞いて、大変な問題だと認識した。本人の意思に反して、出演強要されてしまうことは、女性に対する人権侵害だ。きちんとした支援体制が必要で、政治側でどのようなことができるか、議論をすすめていきたい」と述べた。


民進党の中川正春衆院議員は「立法府として、(解決のために)法律のなかで、どのような工夫ができるか考えていきたい」と語った。共産党の斉藤和子衆院議員は「この問題は、私たちの日常のすぐ隣にあることかもしれない。現場の要望にこたえた制度として、規制をはかっていくことを超党派でできるよう、あと押ししたい」と話した。



(弁護士ドットコムニュース)