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フェラーリSF70H:独創的なサイドポンツーンを採用した跳ね馬の野心作【2017F1マシン分析】

2017年03月02日 17:12  AUTOSPORT web

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独特のサイドポンツーン開口部を採用したフェラーリ
2016年は未勝利で、コンストラクターズランキングも3位に甘んじたフェラーリ。その16年シーズン中に技術組織の刷新も行なわれたわけだが、新体制はかなりの野心作を送り出してきた。

 新車でまず目を奪われるのは、独創性に富むサイドポンツーンのインテークダクト周辺処理だ。車両規定のワイド化で冷却の吸気口を横に延ばせる分、縦を絞ってボディワークの側面を流れる下の気流径路を広く採るのは、今年の新車でどのチームもやってきたことだが、もっとも急進的なのはこのフェラーリだ。

 極端なまでに、縦サイズが狭い。パワーユニット規定導入時点から冷却面の熱交換機器開発に熱心だった、その恩恵ともいえるか。

 サイドポッドの縮小化はもちろん空気抵抗の減少につながるだけではなく、フロア近くで側面を流れるエアはリヤエンドでディフューザーの高い効率を促す。シャシー自体のダウンフォース発生量を左右する重要エリアだ。

 さらに技術陣はこのポッド周辺で付属的パーツの大幅緩和を受け、実に複雑な空力処理を施してきた。どこからどこまでがボディワーク本体で、どれが付属的パーツなのかは一見ではわからないほどで、執念がうかがえる。

 ノーズは16年型の思想を踏襲。前後ウイングも今年の新規定に合わせた傾斜等の処理こそあるものの、この初回テスト段階では前年コンセプトの流用でしかない。ノーズの変更は現実味にとぼしいとしても、ウイングの「本番仕様」が姿を現すのはおそらく、まだ先だ。

 エンジンカウルには他のチームたちと同様、シャークフィン処理を用いてきた。このフィン後端の最上部には長い水平翼が設置されており、やや下向きに気流を送っているようだ。現時点でメルセデスのようにさまざまなタイプの比較テストを行なっているわけではなく、単一の仕様でテスト3日目までを過ごしていた。

 パワーユニットに関しては、他3社のような具体的な開発の言及はいまのところ出ていない。本国イタリアでは1000馬力を超えているとの報道も一部にあるようだが、信憑性としてはどうか。だが開発制限が解かれたことで、各社とも、近い将来のその1000馬力到達は確実に視野に入れているはずだ。大台達成は夢の数字ではなく、もう間近に迫っている。