2月28日のバルテリ・ボッタスに続いて、3月1日もメルセデスAMGはレースシミュレーションを行った。この日、スペインGPのレース周回数である66周のロングランに臨んだのは、ルイス・ハミルトン。
午後3時すぎにスタートしたレースシミュレーションは、途中カルロス・サインツJr.(トロロッソ)とランス・ストロール(ウイリアムズ)が引き起こした2度の赤旗中断に阻まれたが、メルセデスAMGはレースシミュレーションを続行。完全な形とはいかなかったものの、ハミルトンは66周をノートラブルで走りきった。
合同テスト3日目にして、すでに2度のレースシミュレーションを行ったメルセデスAMG。そのアドンテージの大きさは2日連続でレースシミュレーションを完了したというだけにとどまらない。
この日、ハミルトンは前日のボッタスと同様、2回のピットストップで66周を走破したが、ボッタスがすべてソフトタイヤで走ったのに対して、ハミルトンは真ん中のスティントにミディアムを挟んで、ソフト、ミディアム、ソフトという選択でシミュレーションを行った。
その理由をメルセデスAMGのエンジニアは、「別のトライを行いたかっただけ」と説明するにとどまったが、他チームのエンジニアは「スペインGPで投入が予定されているソフトとミディアムの2コンパウンドを組み合わせたストラテジーの比較を行い、グランプリに向けて完璧な準備をもう済ませてしまったよ」と脱帽している。
それを可能にしているのは、パワーユニットを含めたメルセデスAMGというチームの高い信頼性。そのことをうかがわせるのは、テストスケジュールだ。通常は1人が1日を担当する。なぜなら、テストではトラブルが発生することが珍しくなく、半日だけのスケジュールだと、いざトラブルが起きたとき、満足に走り込みができないまま、自分の持ち時間が終了してしまう可能性が高いからだ。
今回のテストでは最終日がウエットテストが予定されていたので、3日目と4日目を2人でシェアする1日をチームが少なくないが、初日から4日間とも2人で1台のマシンをシェアするというスケジュールでテストを行っているのはメルセデスAMGだけ。これはシェイクダウンからロングランができるという確固たる自信がなければ、計画できない。
今シーズンのF1は、全20戦を4基のパワーユニットで賄わなければならない。この3日間でメルセデスAMGが走破した距離は410km。消化マイレージが10チームで断トツであるだけでなく、ここまで唯一のノートラブル。そのメルセデスAMGを追うはずのレッドブルは初日のセンサー&バッテリートラブルに続いて3日目はエキゾーストトラブル。フェラーリはセッション終了間際にコース上にストップ。レギュレーションが変更されてもなお、メルセデスAMGのアドバンテージは大きいことを思い知らされたバルセロナ3日目だった。