2017年03月02日 16:23 弁護士ドットコム
受動喫煙対策の強化をめぐり、ガン患者などの緩和ケア病棟を持つ病院でつくる団体が、緩和ケア病棟での喫煙を例外とするよう求めていることについて、日本禁煙学会(作田学理事長)は3月2日、「緩和ケア病棟は、例外とすべきでない」とする要望書を厚生労働省などに提出した。
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厚生労働省は、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、他人のタバコの煙を吸い込む「受動喫煙」を防ぐため、今国会で法律改正案の提出を予定している。医療機関の敷地内が全面禁煙となる方針であることから、日本ホスピス緩和ケア協会が、「残り時間の少ない人を追い詰めるのはいかがなものか」と全面禁煙の対象から除外するよう求めていた。
日本禁煙学会は、厚生労働省と日本ホスピス緩和ケア協会に向けて「喫煙はメンタルヘルスの悪化のリスクファクターです」「緩和ケアを受けている非喫煙患者さんの平穏のため、タバコの煙から完全に解放された療養環境を提供すべき」「緩和ケアを受けるすべての患者さんのQOLを高めため、緩和ケア病棟を敷地内禁煙とするよう、お願いいたします」と要望している。
日本禁煙学会はこの日、東京・霞が関の厚労省記者クラブで記者会見を開いた。作田理事長は「緩和ケア病棟やホスピスにも、いろいろな悪影響があるので、感情的な意見は排するべき。医学的・科学的な観点から、こたえていくべきだ」と強調した。同会の宮崎恭一理事も「かわいそうだから吸わせたいというのは、現場に即さない意見だ」と述べていた。
この日の会見では、日本禁煙学会の川俣幹雄評議員(九州看護福祉大学教授)らの共同研究グループが受動喫煙の実態について調べたアンケート調査の結果(速報版)も発表された。調査はインターネット上で2月15日から20日にかけて実施。対象者数は1万51人。
受動喫煙にさらされた頻度が最も高い場所は飲食店が62.1%で、これまでの調査報告よりも高い数値になっているという。また、場所を問わず受動喫煙にさらされた人は73.5%で、残留タバコ煙成分を吸い込むサードハンド・スモークにさらされた人も72.7%いることがわかったという。日本禁煙学会は、小規模バーなどの一部の飲食店についても、例外とすべきでないと主張している。
(弁護士ドットコムニュース)