仕事をすると「やりがいを持て」と言われることがある。就・転職の面接でも、「御社での仕事内容にやりがいを感じて」と伝えた人はいるだろう。だが、その風潮をうっとうしく感じる人もいる。
2ちゃんねるに2月中旬、「若者に対して『やりがい』だの『やりたいこと』だの言わない方がいいと思うんだが……」というスレッドが立った。スレ主によれば、大切なのはやりがいではない、というのだ。
「結局、労働環境悪かったら続かんし労働環境良かったら続く 現実はこう」
賃金面や労働環境の不備を「やりがい」でごまかすな
スレ主は周りからよほど「やりがい」を強要されて不快なのだろう。「やりたいことがあればいいけど、別になくてもいいよ くらいでちょうどいいと思うのだが」「やりがい って何だろうね そんなの仕事するのに必要なのかね」などの書き込みを連発している。
スレ主の主張には賛同する声が相次いだ。
「やりがいやりがいって言ってたら、気づいたらタヒんでるか鬱になってるそんな世の中」
「言われたら全部影響されちゃうような奴ならそこまでの奴だろ 言わせとけよ」
やりがいをエサにして、低賃金の長時間労働を押し付ける「やりがい搾取」も問題になっている。「やりがい」とは、企業が働く人を思う存分使うための方便にすぎないという指摘だ。
働く人にとっては、「努力や根性」のような精神論よりも、給料をしっかりと支払われる方が大事だ。賃金面や労働環境の不備を、「やりがい」という言葉でごまかされてはたまらない。
「給料上げられないからやりがいとかいってごまかしてるだけだろ」
「評価(給料)がやりがいであり、それが夢でもあるんだから結局仕事量と見合ってないのが問題」」
やりがいよりも「何が向いているか」を考えるのも大事
また、若いうちに「やりがい」の大切さを求めても、会社では報われることはない、という悲しい意見もある。
「やりがいや夢を持たせておいて、社会に出たら全否定アンド周りに合わせろ、だからな」
別の意見としては、「何が向いてるかを考えるのは大事」というものがあった。やりがいのある仕事に就いたとしても、能力的に不向きで苦労するケースもある。
これについては、任天堂の故・岩田聡前社長が、2014年に4Gamer.netに掲載された記事でヒントになる発言をしている。
「仕事というのは『得意なこと』をやった方がいいんです」
好きなこと、やりがいを感じる仕事であっても、得意でないことをすればおかしくなるという。岩田氏は得意なことを見つける方法として、
「自分の労力の割に周りの人がすごくありがたがってくれたり、喜んでくれたりすること」
を挙げている。自分では「大したことない」と思っていることが、誰かにとっては貴重なスキルである可能性はある。
仕事はつまらない思いをしながらするより、やりがいを感じながらする方が楽しいだろう。しかし、「やりがい」に重きを置くあまり、それが「得意なことか」どうかが抜け落ちてしまうのは良くないだろう。