ウインターテストには、普段グランプリでは見かけない人々と出会うことが少なくない。そんな人たちに、「あなたは何しに、カタロニア・サーキットに来たのか?」を尋ねてみる特別企画。元マクラーレンチーフエンジニアのフィル・プリューに続いて登場したのが、昨年末、F1チャンピオン獲得後に電撃引退したニコ・ロズベルグだ。
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バルセロナテスト3日目の3月1日。午前10時前に、突然サーキットに現れたロズベルグ。その登場は前日までメルセデスAMGにも知らされていなかったサプライズ訪問だった。
F1ドライバーを引退したロズベルグだが、いまもメルセデス本社と契約があり、家族との時間を優先する範囲で広告塔としての活動を行っている。
今回のスペイン訪問もF1のテストが目的ではなく、バルセロナテストとまったく同じ日程でバルセロナ市内で催されているイベント、メルセデスがスポンサーをしている世界最大規模の携帯通信関連見本市「モバイル・ワールド・コングレス2017」に出席するためだった。
見本市が行われているバルセロナ中心部とサーキットがある郊外のモンメローは車で30分。当初は予定になかったロズベルグだが、「新車を見たくなったんだ」と、3月1日の朝にカタロニア・サーキットへ向かったのだ。
「大きくレギュレーションが変わって作られたニューマシンは、どれもアグレッシブですごいね。見ているファンは興奮するだろうし、運転するドライバーにとっても、コーナーリングスピードが上がることは肉体的な限界が高くなるので歓迎だよ」
突然のサーキット訪問に、「すわ、現役復帰か?」という声もパドックであがったが、ロズベルグは自らが昨年末に下した決断を変えるつもりはないという。
「いまも引退したことは後悔していないよ。もちろん、僕はこのスポーツ(F1)をいまも愛している。それにメルセデスAMGは今年も最強だろう。でも、だからといって自分が下した決断を変えるつもりはない。今日、僕がここに来たのは、かつて共に戦った仲間たちにちょっとあいさつしに来ただけ」
そう言うと、ロズベルグはメルセデスAMGのガレージにいるエンジニアやメカニックたちのもとへ。そして、その後、すぐにサーキットを後にした。自由な生活を満喫しているロズベルグに、現役復帰はしばらくなさそうだ。