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欅坂46は先輩グループと異なる価値観を目指す? 4thシングル選抜を分析

2017年03月02日 07:03  リアルサウンド

リアルサウンド

欅坂46『二人セゾン』(初回限定盤A)

 欅坂46が2月26日放送の『欅って、書けない?』(テレビ東京系)で、4thシングルの選抜メンバーを発表した。


 今回も1stシングル『サイレントマジョリティー』と2ndシングル『世界には愛しかない』、3rdシングル『二人セゾン』に続き、センターに平手友梨奈を据えた“全員選抜”は継続となり、フォーメーションも前作に引き続き「1列目:7人、2列目:7人、3列目:7人」のまま。しかし、『二人セゾン』でフロントメンバーだった小池美波、原田葵、齋藤冬優花、佐藤詩織が3列目に移動し、3列目だった織田奈那、長沢菜々香、米谷奈々未、上村莉菜が1列目に抜擢されるなど、ポジションの大きな変化もあった。


 今回の選抜メンバーについて、欅坂46の記事も多数執筆し、『「アイドル」の読み方: 混乱する「語り」を問う(青弓社ライブラリー)』の著者でもある香月孝史氏は下記のように分析する。


「全員選抜が継続され、2作続いて3列目からフロントへの移動が多いことなどを見ると、欅坂46はAKB48グループや乃木坂46といった先輩グループが色濃く持っている『誰がどの位置に選ばれたか』という価値観ではないところへ向かっているように思います。現在の欅坂46は選抜メンバーを“作品ごとのコンセプトを体現するのに適した布陣”と定めているという風にみることもできるかもしれません。前作から引き続いて三角形のフォーメーションではなく7人×3列の四角形にしているのも、序列的な見せ方をことさらに強調しない陣形に見えます」


 また、3列目以外から抜擢されたフロントメンバーとして、長濱ねるとキャプテン・菅井友香が平手の脇を固め、2列目センターに副キャプテン・守屋茜が入った布陣についてこう続ける。


「菅井さんと守屋さんに関しては、今回がキャプテン・副キャプテン制度が採用されてから初の選抜発表ということもあり、その役割を示す意味合いも大きいでしょう。長濱さんは、途中加入という経歴やけやき坂46との兼任など、大きな文脈を背負った“欅坂46の物語”に欠かせない存在です。現在は平手さんをセンターに置くことがベストな選択肢だと思うのですが、今後グループが別の可能性を模索する段階で、彼女の役割は重要になってくると思います」


 1stと2ndのフロント経験者を多数、2列目に置くというフォーメーションについては、下記のように考察する。


「欅坂46は、いたずらにメンバーの配置をシャッフルしているわけではなく、グループの基調とするトーンはしっかり守りつつ、実験的要素を加えようとしており、その意図が2列目のメンバーから伝わってきます。彼女たちは1stと2ndで作った欅坂46のトーンを担保する存在であり、他のメンバーの動きが多くてもここが安定していることで混乱を感じさせない布陣となっているのかもしれません」


 最後に、香月氏は今後の欅坂46について、こう期待を寄せる。


「欅坂46はアイドルファン以外にも訴求するほど、順調すぎるといえるくらい充実したデビュー1年目を経て、2年目へ突入しようとしています。ただ、デビューからのスピードがそのまま5年~10年と続くわけではありません。“坂道シリーズ”の先輩である乃木坂46は、2年目で初めてセンターを動かし、いまでは様々なメンバーが“顔”を務めるようになったことで、長期にわたって盤石なグループになっていきました。欅坂46が同じ道をなぞることが必ずしも良いとはいえませんが、デビューしてすぐに平手さんがカリスマ化し、彼女が背負うものが急速に重くなっていったことも気になりますし、グループの見せ方の選択肢をここからさらに広げることにも期待したいですね」


 グループがデビュー2年目へ突入する印となる4thシングル。この作品を経て、欅坂46はどこへ向かうのか。まずは4thシングル表題曲の発表を待ちたい。(中村拓海)