FIAがチームに対し、いわゆるトリックサスペンションについて、その設計の主目的が空力性能の向上ではないことを証明できない場合には、システムを取り外すよう求める可能性もあると警告した。
2016年末、フェラーリがその合法性についてFIAに質問状を出して以来、油圧を用いた巧妙なサスペンションデバイスに関する議論が続いている。
フェラーリが出したルール明確化の要望は、特定のチームの告発を意図したものではなかった。しかし、問題になっているのは、メルセデスとレッドブルが開発した技術コンセプトだと言われている。両チームは、すでにそのシステムを合法的に使用してきたが、今回はそれをさらに進化させた最新デバイスの合法性が問われているのだ。
そして、2月初めに行われたチーム間の話し合いでも解決に至らなかったため、このほどFIAは、この問題に関する彼らの見方を示した技術指令書を発行した。
チームに送付されたこの文書で、FIAはサスペンションシステムの合法性について、どのように判断するつもりであるかの概要を示した。これによると、合法か違法かを判定する最大のポイントは、それが空力性能にどれほどの影響を及ぼすかだという。
違反と見なされるであろう機能またはコンポーネントとして、FIAは次の5つを選んで例示した。
●加速度に対するクルマの反応の仕方を変えるようなシステム。
●車高を調整する機能とブレーキシステムまたはステアリングシステムの間の直接的な連結。
●セルフレベリング機構による車高調整。
●サスペンションのロールを受け持つ部分とヒーブを受け持つ部分の間の直接的な連結。
●時間差を持って放出されるエネルギーの保存、またはホイールに働く力の変化への応答に非偶発的な非対称性を生じさせるようなシステム。
FIAは、この通知によって、チームが自分たちのシステムの適法性を証明するには、何をすればよいかが明確になることを望んでいると述べた。
また、この文書には、サスペンションシステムの主目的はシャシーとドライバーに路面の凹凸が直接伝わらないようにすることでなければならず、チームがテクニカルデレゲートに説明を要求されたとき、その原則に従って納得できるような説明をできない場合には、FIAはそのシステムの取り外し、または無効化を求めることができるとも記されている。
そして、取り外しまたは無効化を求められたにもかかわらず、チームがそのシステムを使用した場合、その件はスチュワードに報告されるという。
この最新の説明によれば、レッドブルが使っていると言われるタイプのシステムは、使用できないようにも思えるが、チーム代表のクリスチャン・ホーナーは、チームのシステムがレギュレーションの範囲内だと信じていると述べた。
「FIAは私たちのルールの解釈に納得したようだった」と、ホーナーは言う。
「納得できない人がいるなら、その人には抗議を提出する権利がある。私たちとしては、管轄機関から受けたアドバイスに従って進むしかない。これまでのところ、私たちがもらったフィードバックは、どれも『問題なし』というものだった」
一方、メルセデスのトト・ウォルフは、先週、彼のチームのサスペンションがシーズン開幕戦のオーストラリアGPで抗議の対象になる可能性があるとは考えておらず、目下の状況について心配はしていないと語っている。