どうやら2017年のF1は、選手権の歴史上最速のマシンになりそうだ。ピレリは、来週プレシーズンテストが終了するまでに、バルセロナのラップレコードが破られる可能性があると予想している。
今年のプレシーズンテストでの最速タイム(2月28日時点)は、キミ・ライコネンが記録した1分20秒960で、これはまだV8エンジン時代の終盤のタイムには達していない。
だが、F1のタイヤサプライヤーであるピレリは、テストの残り6日間で大幅なパフォーマンスアップが見られると予想しており、テストが終了する頃には、ラップタイムはあと2秒ほど速くなりそうだという。
2回のプレシーズンテストが終わった段階での予想ラップタイムについて質問されたピレリのレーシングマネジャーを務めるマリオ・イゾラは「私の見方では、1分18秒あたりになるはずだ。テストの最終日には、ぜひともサーキットへ足を運んで、私の予想が正しかったかどうかを見極めてほしい」と述べた。
プレシーズンテストの時点でそのようなタイムが出るとすれば、5月に行われるスペインGPでは、それをさらに上回るタイムが記録されるだろう。その頃には、クルマの開発もかなり進んでいるに違いないからだ。
イゾラも、5月のスペインGPでは、レースペースが1分18秒前後になると考えており、「レースペースの予想は難しい。毎年バルセロナには、多くのチームが大規模なアップデートや新しいパーツを持ち込み、クルマが大幅に進歩するからだ」と語る。
「したがって、もしテスト終盤での予選シミュレーションのタイムが1分18秒台だとすれば、レース本番ではレースペースがそのあたりになるのではなかろうか」
ピレリの1分18秒台という予想は、テスト中に達成可能なタイムとして、何人かのチーム関係者が示した数字ともほぼ一致している。
現在のコースレイアウトになってからのバルセロナでの最速ポールポジションタイムは、2010年にマーク・ウエーバーがレッドブルで出した1分19秒995だ。その1年前には、ブラウンGPのルーベンス・バリチェロが予選で1分19秒954を叩き出したが、これはQ2でのタイムだったため、ポールタイムの記録にはなっていない。
だが、バルセロナでの史上最速ラップタイムは、2008年のインシーズンテストで残されたものだ。このテストでは、ドライバーたちが翌年から導入されるブリヂストンのスリックタイヤを試し、当時ルノーをドライブしていたフェルナンド・アロンソが、テスト中盤に1分18秒483をマークしたのだ。
ピレリによると、テスト序盤での様子を見る限り、2017年のタイヤは彼らの目標を達成したようだという。つまり、昨年よりデグラデーションが小さく、熱特性が安定していて、レース中にドライバーがタイヤの温存をあまり考えずに、プッシュして走れるタイヤになっているということだ。
また、イゾラは、走行中のデータが示すダウンフォースレベルは、1年前より大幅に上がっていると述べた。
「ダウンフォースは、昨年と比べて30%前後増えると考えていた。まあ、実際にはそれほどでもないとしても、25%くらいにはなりそうだ。何人かのドライバーのコメントを聞いたところ、ブレーキングで深く突っ込めるようになったし、コーナーでも速くなっていると言っていた」