レースドライバーとしてテストに初参加したストフェル・バンドーンが、2日目を担当した。ところがセッションが始まり、2周のチェック走行を終えピットに戻りかけたところでマシンが立ち往生してしまった。
トラブル再発か? しかし原因は、“撚圧低下”。もっと具体的に言えば、ただのガス欠であった。新車テストでは、燃料やオイルの最低量を実走で確認する。搭載撚量がギリギリ過ぎたということなのだろう。
その後はシステムチェックなどで短い周回を繰り返しながら、バンドーンは順調に距離を重ねているように見えた。しかし29周目、「エンジンパワーが無い」と無線で伝えながら緊急ピットイン。
テレメトリーに事前の兆候はなく、突然のトラブルだった。すぐにパワーユニットの全交換が決断され、並行して行われた調査で6気筒のうちのいくつかが死んでいることが判明した。
夕方の囲み取材に応じてくれた長谷川祐介総責任者は、明らかに憔悴して見えた。これまで出たことがあるトラブルなのかという問いに対してはノーコメントだとしながらも、「非常に問題です」と言明。前日のオイルタンクの不具合とは比較にならない、深刻なトラブルであることを示唆した。
長谷川総責任者は「ベンチテストで十分に回してきましたし、想定していないトラブルでした。非常に残念です。とにかく原因を究明しないとまずい」と述べる。
問題のパワーユニットはすぐに、栃木県さくら市にある研究所『HRD Sakura』に空輸され、原因究明が行われる。しかし今回のテストでは、トラブルの出たパワーユニットと同じ仕様を使い続けるしかない。「交換後、午後の周回ではトラブルは出てません。その意味では問題のパワーユニット単体のトラブルだった可能性も排除できない。いずれにしても、普通に走らせるしかない」
初っぱなから大きくつまずいた3年目のホンダF1。原因が究明できず、対策が施せない現状では、これ以上トラブルが出ないことを祈る他ない。