世界で大流行中のTCR規定を今季から採用することになったSTCCスカンジナビアン・ツーリングカー選手権。そのSTCCで昨年までニッサン・パルサーを走らせていた老舗チーム、フラッシュ・エンジニアリングは、ニッサンに対しTCR規定マシンの製作交渉を行っていると明かした。
フラッシュ・エンジニアリングのオーナーであり、創設者のヤン・“フラッシュ”・ニールセンは、この新たなTCR規定の下、2017年シーズンのSTCCに参戦するべく、あらゆる可能性を模索してきたと説明する。
「すべての物事を前進させるために手を尽くしてきたが、これは複雑なパズルのようなもので、まだすべてのピースが正しい場所にはまってはいない」とニールセン。
その最善の可能性として、ニールセンは昨年までTTA規定と呼ばれる独自シャシーで共に戦ってきた欧州ニッサンと、新たなTCRプロジェクトに関する話し合いを続けているという。
このTTA規定パルサーは昨年中盤に投入されたマシンで、それまでのサーブ9-3に変わって鋼管パイプフレームのワンメイクシャシーに『ニッサン・パルサー』のボディを架装。
エンジンはシリーズ共通のV6が搭載されているが、こちらはニッサンのVQをベースにニスモが開発したワンメイク・エンジンでもあった。
現在、TCRシリーズ向けにイタリアで17年向けBoPのテストが行われているが、マシンの主流はフォルクスワーゲン・ゴルフやホンダ・シビックといったCセグメントのハッチバックとなっており、ニッサンとしてはグローバルで展開するパルサーをベース車とするのは理にかなっている。
チーム代表のニールセンは、かつてドライバーとしてもSTCCを戦ったベテランであり、一度は引退を宣言したものの、現在は「ドアを完全には閉ざしていない」と話す。
「長年、ワークスドライバーとして走ってきて満足できる環境で戦ってきた。しかし、あるときからそれを得られなくなったので、辞めどきだと感じたんだ」
「でも、今は(ニッサンのシリーズ参戦という)適切な条件が整えば、もう一度やり直すかもしれないね」
昨年のSTCCでは、日本でもおなじみのビヨン・ビルドハイムと、ルーキーのリナス・オーソンという2台体制で戦ったフラッシュ・エンジニアリングは、まだ17年の参戦体制を確定できていないものの、ニールセンがオーソンの教育係としてふたたびステアリングを握る可能性もあるとしている。