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TOYOTA GAZOO Racing 2017年NASCAR第1戦デイトナ レースレポート

2017年02月28日 20:02  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

2017NASCAR開幕戦デイトナ マイケル・ウォルトリップ(トヨタ・カムリ)
2017年2月28日
トヨタ自動車株式会社
モータースポーツマーケティング部

モンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第1戦

新規則、新名称のNASCARシーズン開幕
クラッシュ多発の乱戦で“トヨタ・カムリ”2年連続勝利ならず

 2017年シーズンのNASCARが聖地デイトナで幕を開けた。タイトルスポンサーの変更により名称の変わった最高峰カップ・シリーズでは、トヨタ勢はライバルと異なる戦略で序盤速さを見せたものの連発した多重クラッシュに次々に巻き込まれ戦線離脱。今大会が引退戦となるベテラン、マイケル・ウォルトリップが8位、最後まで首位を争ったマーティン・トゥルーエクス・Jr.が13位に終わった。

 エクスフィニティ・シリーズもトヨタ勢はクラッシュに泣き、スコット・レガセイ・Jr.が6位、マット・ティフトが11位。

 キャンピング・ワールド・トラック・シリーズでは最後まで首位を争ったがファイナルラップの多重クラッシュでレース終了となり、オースティン・ウェイン・セルフが2位、クリストファー・ベルが8位となった。

Monster Energy NASCAR CUP SERIES
第1戦 Daytona 500
開催日:2月26日

新規則、新名称のNASCARシーズン開幕
クラッシュ多発の乱戦で“トヨタ・カムリ”2年連続勝利ならず

“ドラフティング”で連なって走行する“トヨタ・カムリ”。前半速さを見せたが多発したクラッシュに巻き込まれ、2年連続勝利は果たせなかった

 2月26日(日)、米国南東部フロリダ州デイトナビーチのデイトナ・インターナショナル・スピードウェイでモンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第1戦「Daytona 500」が開催された。

 今季のNASCARは最高峰カップ・シリーズの冠スポンサーが変わり、新たにモンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズという名称で戦われることとなった。また、レース規則やポイント、プレーオフシステムなどにも規則変更が行われた(下記項目参照)。

 シーズンの開幕戦であり、シリーズ最大のイベントである「Daytona 500」は通常とは異なるフォーマットでレースウィークが進行する。前週末の選抜ドライバーによるエキジビションレース「The Clash」で幕を開けた後、1台ずつの予選で最前列グリッドの2台のみを決定。

 2列目以降のグリッドは23日(木)に2グループに分けて行われた予選レース「Can-Am Duel 150」でイン側、アウト側を決定した。この「Duel」ではトップ10にシリーズポイントも与えられることとなった。

 この予選レースの結果、ディフェンディングウィナーのデニー・ハムリンがDuel 2で勝利し2列目4番手グリッド、マット・ケンゼスが9番手。昨年エクスフィニティ・シリーズでメキシコ人として初のシリーズチャンピオンに輝き、今季よりカップ・シリーズにステップアップしたダニエル・スアレツが19番手、カイル・ブッシュが21番手。

 一昨年のキャンピング・ワールド・トラック・チャンピオン、昨年はエクスフィニティ・シリーズでルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得して今季最高峰カップ・シリーズのフル参戦となった20歳のエリック・ジョーンズは34番手、昨年2位のマーティン・トゥルーエクス・Jr.は35番手と後方からのスタートとなった。

 昨年の「Daytona 500」はトヨタ勢がレースを支配し、最後はハムリンとトゥルーエクス・Jr.が僅か0.01秒差でトヨタに「Daytona 500」初制覇をもたらすとともに、トヨタ勢がトップ3独占。今季もその再現を目指しレースに臨んだ。

 今季カップ・シリーズに参戦する“トヨタ・カムリ”は、今年1月に米国で発表されたばかりの新型カムリのデザインに合わせてさらにアグレッシブなデザインにモデルチェンジ。その活躍に期待がかかった。

 26日(日)雲一つ無い快晴に恵まれ、超満員の観客が見守るなか、午後2時40分に2.5マイルオーバルを200周(500マイル:約800km)して競われる決勝レースがスタート。今大会はステージ1とステージ2が60周、最終ステージ3が80周というフォーマット。

 トヨタ勢はライバルとは異なる戦略で、ステージ1の最後まで走り切れる周回となった時点でグリーンフラッグ下で一斉にピットイン。この戦略が当たり、カイル・ブッシュが42周目に首位に浮上すると、ステージ1をトップでフィニッシュ。10ポイントと貴重な「プレーオフ・ポイント」1点を獲得した。

 ステージ2でもグリーンフラッグ下で早めのピット作戦を採ったトヨタ勢は、一旦後方に下がったものの、カイル・ブッシュにエリック・ジョーンズ、ケンゼスらが連なり、リストリクター・プレート・レースならではの“ドラフティング”で上位浮上を目指した。

 しかし、103周目、カイル・ブッシュの右リヤタイヤが突然バースト。スピンしたカイル・ブッシュに、直後にいたエリック・ジョーンズ、ケンゼスらが突っ込み、多重クラッシュ“ビッグ・ワン”が発生。3台ともに車体のダメージは大きく、トヨタ勢は一気に3台の有力車両をここで失うこととなってしまった。

 ステージ3でも、スタートが切られて数周で“ビッグ・ワン”が発生。ハムリン、トゥルーエクス・Jr.が巻き込まれた。ともにクルーの迅速な作業でレースには復帰したが、141周目の再スタート直後にも“ビッグ・ワン”が発生。

 カップ・シリーズのデビュー戦ながらここまで首位と同一周回で走行を続けてきたスアレツが巻き込まれ、戦線離脱。ハムリンも2度目のクラッシュで、レースには復帰したものの上位争いからは脱落してしまった。

 終盤、首位と同一周回で上位を争ったのはわずか15台。そんななか、序盤のホイールナットトラブルで周回遅れとなり、その後“ビッグ・ワン”で負ったダメージの修復跡も生々しいトゥルーエクス・Jr.が追い上げて孤軍奮闘。終盤には1列となった隊列で2位をキープ。全車燃料が厳しいなかで、昨年果たせなかった勝利へ向け好走をみせた。

 しかし、残り3周を切ったあたりから各車首位浮上を目指して隊列が崩れ始め、激しい首位争いに。トゥルーエクス・Jr.も一旦は首位に立ったものの、ドラフティングパートナーが得られず一気にポジションダウン。ファイナルラップには燃料切れにも見舞われ、13位フィニッシュ。

 トヨタ勢では、今大会で引退を表明、クラッシュに巻き込まれずに最後まで走り切ったベテランのマイケル・ウォルトリップが最上位の8位となった。

 次戦第2戦は3月5日(日)、米国南東部ジョージア州ハンプトンのアトランタ・モーター・スピードウェイで行われる。

ドライバー マイケル・ウォルトリップ:
「最後のレースでトップ10フィニッシュを果たせて、素晴らしい思い出になった。何度もクラッシュのなかで巻き込まれそうになったが何とか上手く避けることができ、ラッキーだった」

「本当に我々の“トヨタ・カムリ”のハンドリングは素晴らしかった。そのおかげで最後まで無傷で走り切り、上位を争えた。良いレースで最後を飾ることができ、嬉しい」

ドライバー マーティン・トゥルーエクス・Jr.:
「狙ったとおり、最後は勝ちを狙えるポジションにつけていた。惜しいところまで行ったが、勝利は叶わなかった。しかし、レースの展開を考えればまずまずの結果だ」

「ジェットコースターのようなレースだった。序盤に大きくポジションを落とし、その後、ダメージを負いながらも最後は十数台のなかに生き残った。結果は残念だが、全力を尽くした。気持ちを切り替え、次戦アトランタに臨む」

<今季の主なルール変更(3シリーズ共通)>
・1レース3ステージ制
 今季より総周回を3つのステージに分け、ステージ毎にステージチェッカーが振られる。ステージ1、ステージ2終了時のトップ10には順位に応じたポイントを付与。ステージチェッカーが振られると一旦レースはイエローコーションとなり、数周のコーションラップ(その間のピットインは自由)の後に次のステージのスタートが切られる。
・プレーオフ
 これまで“チェイス”と呼ばれていたシーズン終盤のプレーオフ戦は“プレーオフ”という名称に変更された。プレーオフの選抜方法やラウンドの進行方法などに大きな変更はないが、レギュラーシーズンからの各レースにおいて、ステージ1、2をトップで終えると1ポイント、レースに勝利すると5ポイントの『プレーオフ・ポイント』が与えられる。このポイントは『プレーオフ』に入ってポイントがリセットされても別途加算され、最終戦ホームステッドのひとつ前まで持ち越すことが可能となる(プレーオフ中も加算可能)。
・ピットでの修復時間『5分クロック』
 今季より接触やクラッシュによるダメージへの、ピットレーンでの車両修復作業は1回のピットインにつき5分以内に制限され、それ以上かかる、もしくはガレージエリアへ移動した場合は強制的にリタイアとなる。この5分クロック規則は接触やクラッシュ以外の、電装系やメカニカルトラブルの場合には適用されない。

NASCAR XFINITY SERIES
第1戦 Powershares QQQ 300
開催日:2月25日

“トヨタ・カムリ”速さを見せるも“ビッグ・ワン”に泣く

 2月25日(土)にNASCARエクスフィニティ・シリーズの第1戦「Powershares QQQ 300」がデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで開催された。

 今季のエクスフィニティ・シリーズには、20歳のマット・ティフトがシーズンフル参戦。今大会は、加えて昨年メキシコ人として史上初のエクスフィニティ・シリーズチャンピオンに輝いた25歳のダニエル・スアレツと、昨年シリーズ4位でルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得した20歳、エリック・ジョーンズの、ともに今季はカップ・シリーズへステップアップした2人がスポットで出場することとなった。

 2月25日(土)午後3時51分に30周、30周、60周の3ステージ、計120周(300マイル:約480km)で競われる決勝レースがスタート。

 22周目に19台が絡む“ビッグ・ワン”が発生。このクラッシュは避けたトヨタ勢だったが、赤旗中断からの再スタート後、ステージ1のフィニッシュを目前にしたトップ争いで接触からふたたび12台が絡む“ビッグ・ワン”に。

 上位を狙っていたトヨタの若手3台はこれを避けきれず、エリック・ジョーンズとスアレツはここでレースを終えることとなってしまった。

 ティフトは何とか5分以内での修復を果たし、レースに復帰したが周回遅れに。追い上げをみせ“ラッキー・ドッグ”(コーション発生時の周回遅れ最上位が1周回復できる救済措置)を獲得したが、77周目にタイヤバーストに見舞われスピンを喫するなど、苦しい展開となった。

 このスピンで2周遅れとなってしまったティフトだったが、残り2周で発生したクラッシュによりレースは延長、“オーバータイム”で競われることに。このコーションでティフトはふたたび“ラッキー・ドッグ”を獲得。17位から上位復帰を狙った。

 ファイナルラップ、最終コーナーに入る手前から車列は乱れ、3ワイドでの激しい順位争いが繰り広げられたが、その中団グループで接触から多重クラッシュが発生。ティフトはこれに巻き込まれたが11位でフィニッシュ。トヨタ勢ではこの混乱をかわしたスコット・レガセイ・Jr.が6位最上位となった。

 次戦第2戦は3月4日(土)、アトランタ・モーター・スピードウェイで行われる。

ドライバー マット・ティフト:
「11位でフィニッシュできたというのは信じられない。最初の“ビッグ・ワン”に巻き込まれ、タイヤのバーストで2周遅れになってしまった。そこからリードラップまで追い上げ、11位でフィニッシュできたことは良かった」

「最後は激しいクラッシュでレースを終えることとなってしまったが、安全なレースカーを作ってくれたNASCARとトヨタに感謝している」

NASCAR CAMPING WORLD TRUCK SERIES
第1戦 NextEra Energy Resources 250
開催日:2月24日

4台の“トヨタ・タンドラ”がトップ10フィニッシュ

 NASCARキャンピング・ワールド・トラック・シリーズ第1戦「NextEra Energy Resources 250」が2月24日(金)にデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで開催された。

 24日(金)午後7時57分、2.5マイルオーバルを100周(250マイル:約400km)して競われる決勝レースがスタート。第1ステージ、第2ステージはそれぞれ20周、最終第3ステージが60周というフォーマットで争われた。

 2周目に入ったストレートでいきなり“ビッグ・ワン”が発生。14台が絡む多重クラッシュで、ノア・グラッグソン、ライアン・トゥルーエクスらがレースを終えることとなってしまった。

 ステージ1終了直前の20周目、アウト側先頭にいたクリストファー・ベルがバランスを崩しスピン。イン側にいたブレット・モフィットに接触。そのままステージ1は終了となり、ティモシー・ピーターズが2位、ベン・ローズが3位に入った。

 ステージ2でもベテランのピーターズがポジションを守り5位、ローズが6位、クラッシュから復帰したベルが7位でフィニッシュ。

 46周目にステージ3の再スタートが切られると、47周目にはベルが首位に浮上。ここにローズも加わり首位を争った。しかし、71周目、首位を争っていたベルがふたたびバランスを崩しコースオフ。ダメージは大きくなかったもののポジションダウン。

 レースは残り5周でスピン車両によりイエローコーションが出され、残り2周で決されることに。中盤トップ10を争う位置からポジションを上げてきたベテランのマット・クラフトンが4位と好位置から再スタートを切ると、チームメイト2台を従えたドラフティングでトップ争いを展開。

 ファイナルラップ、僅差の首位を行くクラフトンと追うライバルとは3ワイドでの激しいバトルとなったが、クラフトンがインに入ったところで、アウトにいたローズがターン2でバランスを崩し、イン側のクラフトンに接触。

 クラフトンは1回転しながら宙を舞い、後続も大混乱の“ビッグ・ワン”に。クラフトンは無事だったが14位フィニッシュ。混乱をかわしたオースティン・ウェイン・セルフが2位。ベルが8位、J.J.イェリーが9位、マイアット・スナイダーが10位と、“トヨタ タンドラ”は大荒れのレースで4台がトップ10フィニッシュを果たした。

 次戦第2戦は3月4日(土)にアトランタ・モーター・スピードウェイで開催される。

ドライバー クリストファー・ベル:
「我々の“トヨタ・タンドラ”はとても速く、望み通りに上位で走ることができた。リードラップも獲得できたし、ステージ1の終盤までは好調だった。しかし、スピンの後は100%の感触ではなくなってしまった」

「チームは5分以内の作業を上手く使って修復してくれ、8位までポジションを戻してレースを終えることができた。次戦アトランタはさらに上位を目指す」