レッドブルF1の代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、2017年のトレンドとなっているシャークフィンを装着可能にする新レギュレーションの“抜け穴”を塞ごうとしたが、その要請は拒否されたという。
エンジンカバー上の大きな背びれのように見えるボディワークは、11年を最後にF1では見られなくなっていたが、今年の新しいF1マシンに多く見られる特徴として復活した。なぜなら、これがコーナリング中に空力的なアドバンテージをもたらすと考えられているからだ。
だが、審美的な観点からは、このシャークフィンに対する意見が分かれている。ホーナーがバルセロナで始まったプレシーズンテストの初日に、これを禁止すべきだったと語った理由もそこにある。「新しいクルマのルックスはすばらしい。ただ、あのシャークフィンが唯一の難点だ」と述べる。
「16年、私たちはそれをF1ストラテジーグループの議題に上げて、他のチームにあのフィンをやめてはどうかと提案した。得られるパフォーマンスゲインは、ほんのわずかでしかないからだ。そして、クルマをカッコ良くするために、あれはやめることにしたいと要望した」
「その話はF1コミッションへ提出されたが、残念ながら、チームの過半数の反対によってすぐに否決された。結果として、もし対処できるとしても、来年以降ということになってしまった」
「クルマのルックスはとても良くなった。それだけに、レギュレーションの抜け穴を通って、あのシャークフィンが紛れ込んできたのが残念だ」
ホーナーは、あのデバイスによって確かにパフォーマンスのゲインはあるものの、クルマが美しく見えるようにすることも、考慮すべき重要なファクターのひとつだと考えている。
「うちのチームの空力エンジニアにたずねれば、彼らもあれは残したいと言うだろう。クルマは以前よりアグレッシブでチャレンジングに見えるようになった。だからこそ、スタイルの美しさを無視するのは間違っていると思う」と主張。
「残念なことに、これがルールの解釈の結果だ。けれども、早い段階で対処することも可能だったんだ」
いっぽう、レッドブルのサスペンションシステムについては、チームとしてFIAにも相談しており、レギュレーションの範囲内にあるはずだと、ホーナーは語っている。
16年の暮れににフェラーリがルールの明確化を求めて以来、チームの間では、巧妙な油圧サスペンションシステムの合法性について再検討すべきとの議論が生じている。これについては、レースディレクターのチャーリー・ホワイティングが技術指令書を発行するものと予想されている。
「FIAは私たちのルールの解釈に納得したようだった」と、ホーナーは言う。
「納得できない人がいるなら、その人には抗議を提出する権利がある。私たちとしては、管轄機関から受けたアドバイスに従って進むしかない。これまでのところ、私たちがもらったフィードバックは、どれも『問題なし』というものだった」