FIAは少なくとも今後5年間、WRC世界ラリー選手権にハイブリット技術を持ち込まない方針であることを明らかにした。
■FIAは事前調査開始も、チームとは規則保持で合意済み
現在、FIAはWRCにハイブリット技術、あるいは電気自動車技術を持ち込むことが可能か調査を進めているという。
しかし、ラリーディレクターのヤルモ・マホネンはWRC参戦メーカーとは向こう5年間、現在のテクニカルレギュレーションを維持することで合意していると発言。早期にWRCにハイブリットマシンが登場する可能性を否定した。
「(ハイブリット技術導入について)FIA内部で話し合いを行っている」とマホネン。
「現在は、パワートレインをハイブリットにするべきか、あるいは完全な電気駆動にするべきか議論しているところだ」
「ただ、この件については参戦する各マニュファクチャラーから専門家や権限のある人物など“正しい人々”を招集する必要がある。大企業には各自の戦略があり、その戦略に沿った形でルール作りをするべきだからだ」
「しかし、現時点では今の状況を維持する。今後5年間は電気自動車がWRCに登場することはないよ」
■「ハイブリット/電気自動車にとって、ラリーはもっとも難しいカテゴリー」
モータースポーツ界では、この10年間でF1やWEC世界耐久選手権、スーパーGT300クラスなどにハイブリット技術が投入されているほか、電気自動車で争われるフォーミュラEも発足するなど、多くのハイブリット/電気自動車技術が投入されている。
また、ラリー競技ではJRC全日本ラリー選手権にニッサン・リーフやミツビシMIRAIが参戦したこともあるほか、ラリークロスでは北米中心のGRCグローバル・ラリークロスが2018年から電気自動車で争う選手権の併催を発表している。
ラリークロスに関しては、元WRCドライバーのマンフレッド・ストールが運営する『STARD』が昨年、プジョー207スーパー2000をベースとした電動ラリークロスマシンを製作するなど、WRCよりも一足先にハイブリット/電気自動車技術を取り入れ始めている。
これについてマホネンは、ラリークロスがWRCよりも走行距離が短い点がポイントになっているとの見方を示す。
「ハイブリット車や電気自動車にとって、ラリーというカテゴリーはもっとも難しいものだと言える。ラリークロスのほうが、はるかに簡単なんだ」
「(WRCでは)オプションとしてSS間のリエゾン区間(一般道)を電動で走行し、ステージは通常のエンジンで走るというものを考えている」
「これについても議論したいと思っているが、まずは関係者全員が同じテーブルにつくところから始めなければならない」