世界中に拡大を続ける人気ツーリグカー・カテゴリーの『TCRシリーズ』は、3月1日から2日間にわたりイタリアのアドリア・インターナショナル・レースウェイで、2017年シーズンに向けたBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)の最終決定に向けたテストを行う。
このシーズン開幕前の性能調整テストは、GT3を規範としたBoPシステムの根幹として毎年開催されており、今季も全10ブランドがマニュファクチャラーとして参加する予定となっている。
今回が初のテスト参加となる『アウディRS3 LMS』や『フォード・フォーカス』、『キア・シード』を筆頭に、新型の17年モデルを投入する『アルファロメオ・ジュリエッタ』や、『ホンダ・シビック』、『オペル・アストラ』、『プジョー・308』、『セアト・レオン』、『スバルWRX STI』、『フォルクスワーゲン・ゴルフGTI』などがリストに名を連ねている。
なかでも、フォルクスワーゲン陣営の『アウディRS3 LMS』、『セアト・レオン』、『フォルクスワーゲン・ゴルフGTI』には、同社のデュアルクラッチ・ギヤボックスであるDSG搭載車が2台テストに持ちこまれ、オートマチック・シームレスシフト仕様のマシンをテストすることとなっている。
テストを担当するドライバーは往年の名手ニコラ・ラリーニと、耐久レースなどで活躍したアンドレア・ベルッチが新たに参加。TCRシリーズの技術面を担当するテクニカルビューローが準備したプログラムに従い、全車をドライブするよう任命されている。
TCRを取り仕切るプロモーター代表のマルチェロ・ロッティは、ラリーニに加えベルッチを起用した経緯を次のように説明する。
「我々はニコラの膨大な経験とスピードに全幅の信頼を寄せている。そのため3年連続で彼を起用することはすぐに決まった。TCRの技術部門に必要なすべての情報を確実に提供してくれる男だからね」
「そのニコラに加えて、今年新たにもうひとりのツーリングカー・エキスパートとしてベルッチを起用したのは、非常に多くのテスト車両が集まり、ひとりの人間がそのすべてを走らせることが“不可能な作業”になってきたからだ」
2日間のトラックテストを終えたマシンは、全車トリノ近郊のピエモンテ州グルリアスコにあるピニンファリーナの風洞に運ばれ、ドラッグ&リフト係数の計測作業が行われる。
このトラック&風洞テストの結果は3月中旬には発表され、世界中のすべてのTCRシリーズに17年BoPが適用されることとなる。