ST-Xクラスに参戦のARN RACINGが新車Ferrari 488GT3でレコードに迫るタイムを記録 スーパー耐久の公式テストが2月26日、ツインリンクもてぎで開催され32台が走行した。二度の赤旗中断はあったものの好天に恵まれ、終了間際には永井宏明/佐々木孝太組のARN Ferrari 488GT3がトップタイムをマークし、レコードタイムにあと一歩と迫る速さを披露した。
2017年シーズンのスーパー耐久シリーズにいくつかの変更が発表されている。まず岡山国際サーキットで行われる最終戦の日程が1週間早められ、10月14~15日の開催に変更された。また、今年は6戦中4戦で2レース開催となるが、ツインリンクもてぎで行われる開幕戦は、土曜決勝がST-R、Z、1、2、5クラスで争われ、日曜決勝がST-X、3、4クラスで争われる。ただし、この区分は開幕戦だけの決定で、他の3戦はまた違った組み合わせになる可能性もあるようだ。
そしてヨコハマから供給されるコントロールタイヤは、全クラスでスペックを変更。ST-X、1クラスでは構造が、さらに他のクラスではコンパウンドも見直され、耐摩耗性や攻撃性の向上が図られている。ほとんどのドライバーが「違いは感じるけれど、セットの変更で対処できた」と語っており、変更による悪影響、勢力図の変化が生じることはなさそうだ。
また、昨年もスポット参戦した本山哲率いるSKT Team MOTOYAMAがフル参戦を表明。本山と加納政樹、安田裕信に加え、昨年の86/BRZレースクラブマンシリーズ王者の松原怜史も起用されることとなった。マシンは昨年同様、日産フェアレディZ34で、メンテナンスはTECHNO FIRSTが担当する。「まずは1勝したい」と本山は意気込んでいた。
開幕一カ月前に設定された今回の公式テストには32台が参加した。
ギヤシフターのトラブルからセッションの序盤を走れなかった、YUKE TANIGUCHI/山内英輝/元嶋佑弥組のENDLESS ADVAN GT-Rは、修復を終え走行を開始すると早々にトップタイムを更新。今年から監督として指揮を摂ることになった峰尾恭輔を微笑ませた。
しかし、終了間際にARN Ferrari 488GT3の佐々木が、一気に1秒2も上回る1分49秒704を記録して再逆転に成功。レコードタイムにも、あとコンマ5秒と迫るタイムだ。
昨年まではメルセデスSLS AMG GT3を走らせていたARN RACINGだが、今年は新たにフェラーリ488GT3を導入。今回のテストが国内初走行ながら、「すでにイタリアで150kmぐらい転がしてきたので」と佐々木。ニューマシンにありがちなトラブルに見舞われることなく、順調にテストをこなした結果、幸先の良い滑り出しとなった。
「今まで見ていて、カッコ良さそうだし、速そうだしと思っていたんですが、実際に走らせてみたら、やっぱり(笑)。セクター3で少し引っかかっているので、もうコンマ2秒は上げられたと思います。チームも結成3年目で、すごく一致団結感も出てきているし、今年は永井さんと一緒に結果を出す、チャンピオンを獲りにいく年にしたいです」と佐々木。
今回のテストにはST-X勢が4台が参加。3番手にはモーリス・チェン/吉本大樹/坂本祐也組のHubAuto Ferrari 488GT3が、そして星野敏/荒聖治/近藤翼組のD‘station Porscheが続いていた。このクルマも国内初走行ながら、トラブルなくテスト終えた。
残念ながら、今年から新設されたTCR車両によるST-Rクラス、FIA-GT4車両によるST-Zクラス、さらにST-1クラスの車両も今回のテストに参加せず。ただし、ST-Rクラスには、すでにアウディRS3 LMSで参戦表明をしている、BRP/バースレーシングプロジェクトを含め、3台ほどのエントリーが見込めそうだ。
ST-2クラスのトップは大澤学/後藤比東至組のDAMD MOTUL ED WRX STI、ST-3クラスのトップは嵯峨宏紀/中山雄一/山下健太/平木湧也組のDENSO Le Beausset RC350、ST-4クラスのトップはたしろじゅん/伊藤毅組のSunOasis田中建設スズバン86、そしてST-5クラスのトップはTakamori博士/西村元気/岡崎善衛組のDIJON Racing Fitが獲得。
また、唯一のニューマシンとしてTeam NOPROが、マツダ・アクセラ・ディーゼルターボを今回のテストで走らせていた。まだロールバーを着けただけの状態とあってST-3クラスはおろか、全車中の最下位タイムを記すに留まったが、ライバル車両より軽いことや燃費に優れること、そしてFFであることを武器として、いずれ大暴れすることが期待される。
スーパー耐久開幕戦はツインリンクもてぎを舞台に4月1日、2日に開催される。