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『けものフレンズ』でも話題 みゆはん、「コミュ障SSW」の裏側に秘めたクリエイティブ力

2017年02月27日 18:03  リアルサウンド

リアルサウンド

みゆはん

 2月22日にミニアルバム『自己スキーマ』にて、メジャーデビューしたみゆはん。デビュータイミングのTwitterのフォロワーが16万人超えと、彼女はSNSを中心にしてすでにカリスマ的人気を誇っている。


 動画はこちら。


 「コミュ障シンガーソングライター」ーー彼女が自身につけた愛称はこうだ。Twitterを中心にファンとコミュニケーションを取るみゆはんは、イラストや自撮り、メイク解説、ゲーム動画、弾き語りなど、多彩な側面からツイートをしている。一つひとつのツイートには、凝った画像や動画が添付されていることが多く、彼女のその計り知れないクリエイティブ性を覗くことができる。その湧き出るクリエイティブ性が全面に活かされているのが彼女のイラスト。実家の猫をモチーフとしたキャラクター「けせらーず」をプリントしたアパレルを販売するなど、独自のフィールドを確立しているのだ。


 現在、ブームを巻き起こしているアニメ『けものフレンズ』(テレビ東京系)のエンディングに「ぼくのフレンド」が抜擢されたことも、また彼女の名前が知れ渡るきっかけとなった。アニメでは、スナネコ役として声優を担当。スナネコは「ネコ×金髪ショート」とまるで彼女のために用意されたようなキャラクターだ。アニメとイラストの親和性がとても良い。アニメをきっかけにみゆはんを知った層は、彼女の多彩な顔に魅了されていく。


 「ぼくのフレンド」が収録されたミニアルバム『自己スキーマ』は2月22日で「猫の日」の発売、というのも彼女らしい。アルバム全体に漂うのは“メランコリック”。収録曲6曲、全ての作詞・作曲をみゆはんが務め、それにアレンジャーが手を加えるという手法を取っている。どの楽曲にも彼女の叶わぬ恋、一途な恋といった一方通行の思いが描かれている。そこに哀愁を帯びたサウンドが加わることによって、コミュ障シンガーソングライターを掲げた“みゆはん”のイメージが完成する。ミニアルバムの楽曲群の中でも、驚いたのは「ワンサイデッドラヴ」。ジャジーなサウンドと艶っぽい歌声、ラストのメロディーではサビの歌詞を歌う彼女の歌声に、また別の歌詞を歌う彼女の声が乗り、楽曲で描かれている秘めた思いを表しているように感じた。


 最近では、GLAYのTERUがラジオでみゆはんの楽曲を2曲オンエアすることでも話題となった(O.A.は3月1日『TERU ME NIGHT GLAY』(bayfm))。TERU曰く、昨年YouTubeでGLAYのカバー曲を弾き語りしている映像を見ていた際に、心に響き感動した声の持ち主がみゆはんであったのだという。TERUは、みゆはんのメジャーデビューについて「デビュー前にGLAYを知ってくれてた人もGLAYがデビューした日、こんな感覚だったんだろうな~」と感慨深くツイートしており、彼女の才能はすでに価値のあるものとして、先見の明の持ち主に見つけられ始めている。


 筆者が彼女に期待するのは、そのクリエイティブ力だ。完全セルフプロデュースとして、アートワーク、MVに至るまで全てに携わる彼女の作品には、ハンドメイドからにじみ出る温かみとどこか人懐っこさがある。それは内向的な彼女の心情から来るものなのかもしれない。「コミュ障シンガーソングライター」とは何とも上手いネーミングをしたと思う。CDをリリースして、ライブツアーを巡って……というのが現在の音楽シーンにおける一般的なサイクルとなっているが、その型にはまらない、独創的なアイディアで新たな流れを創り出して欲しい。彼女のクリエイティブ力なら、きっとそれが出来るはず。(文=渡辺彰浩)