喫煙者には頭の痛いニュースだ。厚生労働省は受動喫煙の防止策として、小規模な居酒屋や焼き鳥屋なども全面禁煙にする方向で議論に入った。2月25日付けで読売新聞などが伝えている。
未成年が立ち入らないバーやスナックは例外
ネットでは「これは良いニュース。嫌な思いをせずに呑みに行ける」「パチンコ屋もやれ」と、賛同が集まる一方、「タバコも吸えない居酒屋なんて、行く価値もない」「厚生労働省は日本経済を壊す気かよ 禁煙店にマークを付けて、外国人向けに推奨すれば十分だろ」と、批判の声も根強い。
一方で今回、アルコール類の提供が主であるバーやスナックは、未成年者が立ち入らないなどの理由から、店頭に喫煙可能の旨を掲示することを条件に例外とされる見込みだ。客の減少などの懸念から例外を設けるよう打診していた飲食店業界の声はある程度汲まれたようだ。
ただ、世論は全面禁煙を支持する方向で動いている。2012年にジョンソン・エンド・ジョンソン社が屋内労働者向けに実施した調査では、6割以上が公共の場での全面禁煙に賛成している。
日本禁煙学会「未成年者のアルバイトたちの健康を守ることに繋がる」
2月9日に「健康増進法改正案の改悪についての日本禁煙学会緊急声明」を出した日本禁煙学会理事の宮崎恭一氏は、今回の厚生労働省の方針について「この法案が通れば、家でも建物内でも外でも吸えないということで、日本は世界で一番たばこに厳しい国になります」と歓迎と期待をあらわにする。
さらに、現在飲食店で主流の分煙では効果が薄いと指摘した上で
「いくら分煙にしても、ドアの開閉によって喫煙室内の空気が外に流れ出すので、完全な分煙にはなりません。また、電子たばこならいいじゃないかとの声もありますが、ああいった機器を使っても、吐く息からはニコチンが放出されます。全面禁煙になれば、これまで煙に晒されてきた未成年者のアルバイトたちの健康を守ることに繋がります。」
と、ほっとした様子だった。
日本は2004年、WHOのたばこ規制枠組条約(FCTC)を批准している。この第8条には『飲食店等を含む屋内施設を完全禁煙化することによる受動喫煙の防止』という項目があり、この履行のためには、今回のような方針で進むことは避けて通れないだろう。
一方で宮崎理事は、30平方メートル以下のバーやスナックに喫煙の抜け道が残されていることに関して「お店の大きさに関係なく禁煙にしたほうがいい。ここで妥協してはいけない」と、今後も完全なる全面禁煙に向けて取り組む意欲を見せた。
キャリコネニュースは大手居酒屋チェーンにも取材を申し込んだが、「法案提出前なので具体的なお話は差し控えさせていただきたい」とのことだった。2020年のオリンピックを控え、愛煙家に向けられる目はますます厳しさを増すようだ。