2017年02月25日 10:13 弁護士ドットコム
婚活サイトで知り合った男性と関係を深めてきた矢先、突然相手から「実は既婚者だった」と告白されたアラフォー女性が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに「法的にどのような措置がとれるのか教えて欲しい」と質問を寄せました。
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女性によれば、婚活サイトで「バツイチ、子なし」だった彼と知り合い、交際を始めます。ところが、交際を始めて約2年が経った頃、彼に妻子がいたことを知ったのです。
女性は、お互いに結婚したいとの意向は伝え合っていたとして、「貴重な時間を無駄にした精神的ダメージ」に対して慰謝料請求をしたいと考えています。そのようなことは可能なのでしょうか。桑原真理弁護士に聞きました。
「本件は明確な『婚約』をしていないので、婚約の不当破棄を理由とした損害賠償請求は厳しいでしょう。しかし、婚約が認められない場合でも、相手に対して損害賠償請求できる場合はあります」
具体的には、どのような場合なのでしょうか。
「たとえば『結婚の可能性のある真剣な交際のできる男性以外、交際するつもりがない』という相手の気持ちを知っていた場合です。知っていながら、自分自身は結婚する意思がないのに結婚前提の交際を望んでいるかのように装い、性的関係を伴う交際を開始・継続した場合には、相手の人格権、貞操権を侵害したものとして不法行為となります」
今回の相談事例では、どう判断されるのでしょうか。
「相談を寄せた方の場合、婚活サイトで知り合っており、お互いに『結婚したい』との意向を伝えあっています。相手は相談者の『結婚の可能性のある真剣な交際のできる男性以外、交際するつもりがない』という気持ちを知っていたと考えられます。
また、婚活サイトのプロフィールや2年間の交際中にも、妻子がいることを隠し続けていたことからすれば、彼が本当は結婚する意思がないのに結婚を前提にした交際を望んでいるかのように装ったといえるでしょう。彼の行為が、相談者の人格権・貞操権を侵害する不法行為となる可能性は高いです」
では、相談者の望みどおり、慰謝料を請求することはできるのでしょうか。
「このような相手の行動により相談者が精神的ダメージを受けるのは当然です。相手への慰謝料請求は認められるでしょう。しかし、デート費用などの返還については、相談者のみが一方的に交際相手に貢がされていたなどの事情がない限り、難しいと考えます。
なお、相手が交渉に応じず裁判せざるをえなくなった場合は、相手に対し、慰謝料の他、慰謝料額の1割相当の弁護士費用も請求できます」
慰謝料の金額はどのくらいになるのでしょうか。
「『婚約』まで至っていませんので、慰謝料として認められる金額は100万円前後と考えます。ただし、婚活するアラフォーの女性にとって貴重な2年間を奪われたことや、相手の対応の悪質さを強調することで、上記よりも高額な慰謝料が認められる可能性もあります」
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
桑原 真理(くわばら・まり)弁護士
平成18年弁護士登録(59期)。第一東京弁護士会所属。民事・刑事を問わず幅広い分野を取り扱っているが、特に、男女問題、離婚、相続に注力している。
事務所名:日本橋桑原法律事務所
事務所URL:http://kuwabara-law.jp/