ホンダF1プロジェクト総責任者の長谷川祐介氏は、マクラーレンの2017年型マシンMCL32に搭載するパワーユニットは開幕戦までには昨年のメルセデスと並ぶパフォーマンスを発揮するようになると考えている。
2015年にF1に復帰、2016年に大きく進歩したホンダは、過去2シーズンで得た経験をもとに、パワーユニットのコンセプトを大きく変更、すべての主要コンポーネントの見直しを図り、低重心化と軽量化、ICEのパワー向上を実現したという。
現在、最も優れたF1パワーユニットを作り出しているのは王者メルセデスであり、ホンダはメルセデスとのギャップを縮めることを目標としている。しかしメルセデスのカスタマーチームであるフォース・インディアは新車発表の際に、今年のメルセデスは「かつてないほどの前進を遂げた」と述べた。
「メルセデスも素晴らしい仕事をしたと聞きました。非常に残念ですね」と長谷川総責任者は、MCL32・ホンダの発表会において語った。
「彼らとの差を縮めたいと思っています。実際に走ってみるまでは正確なデータは得られませんが、私たちは進歩しました。いくらかギャップを縮めることができたと期待しています」
今後1カ月に予定している開発プランに基づき、ホンダは今季のエンジンは開幕戦までには昨年のメルセデスのレベルに届くものと確信している。
メルセデスが2016年に発揮したレベルまでパフォーマンスを向上させるという目標はすでに達成できたのかという問いに対し、長谷川総責任者は「今のところは達成していません」と答えた。
「メルセデスが(2017年のエンジンで)どこまで進歩するのか、分かりません。メルセデスは今、パワーユニットにおいてトップであり、私たちはトップレベルのパワーユニットを作り上げることを目指しています。ただ彼らは今年、どれだけのパワーを発揮するのかはまだ分かりません」
「ですが、(2016年終盤の)彼らと比べて、今の私たちはそれほど大きく遅れてはいないと思います。シーズンが始まるまでに彼ら(のその状態)に追いつけるでしょう」
ホンダはコンセプトを一新、メルセデスが使用しているレイアウト、つまりエンジンの片側にコンプレッサーを、もう片方にタービンを配置する方式に近いものを採用したと英AUTOSPORTは報じている。
長谷川総責任者は、詳細は明かさないものの、ライバルチームが使用しているものと類似したアイデアを採用したと述べている。
マクラーレンのチーフエンジニアリングオフィサー、マット・モリスは、新たなパワーユニットのベースは優れたもので、トークンシステムの廃止もあり、シーズンを通して大きく向上させていくことができると期待を示した。
「エンジンの構造は適切なものであり、ベスト(のエンジン)にチャレンジできる力を備えていると感じている」とモリス。
「純粋なパフォーマンスにおいて我々がどういう位置にいるのかを知るのは困難だ。シーズン初めからメルセデスに勝てるような状態にエンジンを持っていけるのか? おそらくそうはならないだろう」
「だが過去2年と同じペースでギャップを縮めることができれば、大きな前進であることは間違いない」
「レギュレーションが変わり、トークンシステムが廃止された。それによって1年を通してエンジンの開発を大きく進めていくことができる。来週バルセロナでテストがスタートするが、その時の状況とシーズン最後の位置とは異なってくるはずだ」
「エンジンの構造のベースは、我々が必要としているものであり、それを考えれば、これからの開発期間には大きな期待を感じる」
「シャシーと同様に、(パワーユニットにも)いい構造が準備されたので、それを足掛かりにして、シーズンを通してパフォーマンスを向上させていけるだろう」