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中上は今年から最高峰の予定だった!? 新たに世界に挑む日本人の可能性とは?:第3回MotoGP覆面座談会(2)

2017年02月24日 20:02  AUTOSPORT web

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中上貴晶
二輪ロードレースの最高峰、MotoGPの裏話を語る『2016MotoGP覆面座談会』の第3回を開催。今回は新たに女性のMotoGP関係者を入れた3名でお届け。パート2は2016年シーズンを戦った日本人ライダーと、2017年を戦う日本人ライダーについて。日本人ライダーがチャンピオンを獲得する可能性はあるのか?

事情通A氏:自身もサーキットで走るという二輪界のパイオニア

事情通B氏:恐れ知らずでズバッと切り込むベテラン編集員

事情通C氏:今回初参戦、ライダー情報に精通した女性編集員

◇ ◇ ◇ ◇

■ミスによる幻の表彰台。その原因とは
――では日本人ライダーについて語っていただきましょう。16年シーズンは中上貴晶のMoto2クラス初優勝や尾野弘樹が初表彰台を逃すなど話題が多かったですが、みなさんはどう感じましたか。

C氏:尾野弘樹は……。本当にありえないですよね。

B氏:予選3グリッド降格と幻の3位表彰台。酷いよね。運がないとしか言えない。

A氏:チーム・アジアがミスを犯したのは、これで2回目ですよね?

C氏:正確には3回目です。細かいところを言えば何十回もミスをしていますけど。まず2014年、中上貴晶の開幕戦カタールGPでの車検落ち。それから2016年の第6戦イタリアGPでのクイックリスタートのペナルティ。そして、第15戦日本GPでの車検落ちによる尾野の失格です。

――尾野の3グリッド降格は何が原因で起こったんですか?

C氏:あの3グリッド降格は、チームオーダーが原因らしいです。Moto3クラスは、2015年の第8戦オランダGPからスロー走行が禁止になりました。各セッションで自己のベストタイムから107パーセント以内のラップタイムで周回しなければグリットド降格のペナルティが科せられる。

 尾野はチームメイトの(カイルール・イダム・)パウィを引っ張るようにチームから命じられていたんです。パウィにペースを見せてあげるために尾野はコース上で待っていた。それがスロー走行と見なされてペナルティを科せられてしまったんです。

A氏:スロー走行になった原因もパウィにあったようで、尾野はピットアウトのタイミングを合わせたのにもかかわらずパウィが遅れたと言っていました。

B氏:速い人を待ってたんじゃなくて、遅い人を待ってたらペナルティ。スロー走行禁止ってMoto3クラスくらいだよね。Moto2クラスでも速いライダーを待っている場面を見るし。

A氏:スロー走行禁止になった理由のひとつに、走行ライン上をスロー走行するライダーがいて危険だったからというのがありました。実際に事故が起こったこともあったんです。Moto3クラスを走るライダーの中には20代以下の幼い子たちもいるし台数も多いので、走行ラインをうまく外せるライダーが少ないのでしょうね。

B氏:まあ、チームオーダーが出てたことを知らない人は尾野弘樹が下手くそだったって話になってしまうけどね。あまり報道されていないから、この事実を知ってる人は多くないと思うよ。

C氏:(チーム・アジアは)Moto2クラスでも新レギュレーションに対応できなくてペナルティを受けていました。今年から導入されたクイックリスタートです。このレギュレーションは、赤旗中断などで再スタートするときの時間短縮のために作られたレギュレーションなんです。

 クイックリスタートになったとき、レース再開の時間になったらピットレーン出口が60秒間のみ解放されます。その時間内でピットレーンから出てコースを1周し、スタートグリッドに戻らないといけません。それをチームが知らず、ピットレーン出口が閉鎖されているところを中上は出て行ってしまったのでペナルティ。最後尾スタートになってしまったんです。

――でも、なんで最後尾になってしまたんでしょう? ピットレーン出口が閉鎖されているのに出ていってしまったライダーが他にもいましたよね。

C氏:それに関しては、中上が閉鎖中にコースへ真っ先に入ってしまったことが理由だそうです。中上がコースインしてしまったから他のライダーもついていった。中上が原因を作ったことになったので、最後尾スタートになってしまったようなんです。

B氏:あれがなかったら2回目の優勝もあり得たと思うんだけどね。

A氏:現場の情報によると、普通だったらレギュレーションに詳しい人が必ずチームにひとりはいて、今年はこういうレギュレーションに変わったと事前に監督へ通達する人がいるらしいです。だけど、チーム・アジアにはそういう人は誰もいなかったようなんです。

B氏:いないの?

A氏:いないらしいですよ。現場情報によると。担当者がいないのはあそこのチームだけではないらしいですけど。大きなチームなら必ずひとりはいるんですけどね。

B氏:それは知らなかった。でも普通はレギュレーションが変わったところって絶対チェックするよね。変更点の箇所は太字になっているし。

C氏:そうですね。太字の所だけでもチェックしておけよって話になるんですけどね。

――今年の中上は大丈夫なんでしょうか? おそらく勝負の年になりますよね。

B氏:本当は2016年が勝負だったんだよ。ホンダとしては、中上が3つか4つ優勝したらMotoGPクラスという選択肢があったみたい。ドルナはMotoGPクラスの台数を24台と決めているのに今年は23台。中上用に1台空いている状態らしい。

A氏:中上も、こんなんじゃ上がってもとしきりに言っていました。やり残したことがあると。本人がMotoGPに上がりたいと言っていたら上がれたかもしれないんですけどね。

 ホンダとしては、レプソル・ホンダのファクトリーチームと、本社がコントロールするもうひとつのチームを作りたいという構想があるんです。それがなかなか作れないでいるんですよね。

B氏:チーム・アジアって3年目だっけ? チーム全員が日本人ってことは絶対にないって関係者が言ってたよ。アジアンライダーが速かったら日本人ライダーがいない場合もあるよ。

――尾野弘樹は結局Moto2に上がるチャンスはなかったんですか?

B氏:2016年のもてぎでなんとなく「おー!」ってなってただけで、それ以外は良い成績を残せなかったから、交渉もできないでしょ。

C氏:交渉に関しては、誰かが動いてくれていると思うんですけど、果たしてどうなるのか。MotoGPはお金がかかりますからね。

■新たに参戦するふたりの日本人ライダー

■Moto2復帰の長島哲太の目標とは

こちらはモータースポーツチャンネル限定の記事になります。続きは