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K-POPアイドルは演技派多し? 超新星・ユナク、二面性を見せた熱演に高評価

2017年02月24日 17:32  リアルサウンド

リアルサウンド

(c)読売テレビ

 超新星のメンバーであるユナクが、2月23日放送の連続ドラマ『増山超能力師事務所』(読売テレビ・日本テレビ系)第8話に出演し、話題を集めた。


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 誉田哲也の同名小説をドラマ化した本作は、超能力を持った探偵事務所のメンバーたちが、悩みを抱えた依頼人を救うために奮闘する姿を描く。ユナクは、韓国からの留学生ユン・ジフン役で出演。学生時代に恋人を残して母国へ帰るも、3年後に成長した姿で再び恋人の元に戻って来るという役どころだ。


 近年、K-POPアーティストが、日本の作品に出演しているのをよく見かける。昨年公開された映画『HiGH&LOW THE MOVIE』では、「BIGBANG」のV.Iが韓国マフィアの若頭を演じていた。甘いマスクを持ち、どちらかというとソフトな印象を受けるV.Iだが、白竜やAKIRAといった無骨さにじみ出ている俳優たちと肩を並べても、迫力という点で対等にわたり合えていたことに驚いた。また、映画『知らない、ふたり』には「NU’EST」のキム・レオン、ナム・サンス、ユ・ジウらが出演。映画『いきなり先生になったボクが彼女に恋をした』では、「SUPER JUNIOR」のイェソンが佐々木希とのラブコメディに挑戦していた。


 どの作品にも言えることだが、K-POPアーティストの演技には、純粋に質の高さを感じることが多い。今回のドラマにおいても、ユナクの演技には目を見張るものがあった。


 ファーストシーン、モサっとした垢抜けない留学生として登場したジフンは、はにかんだ笑顔がかわいく、優しそうだがどこか頼りない雰囲気を醸し出す。正直、カッコイイよりは“ダサかわいい”という印象だったが、擬似デートのような演出も相まって、純朴そうな青年に胸を打たれたファンも多かったろう。それから3年後、若手実業家として再びジフンは日本に戻って来る。しかし、その時は過去のダサかわいい優男から脱却し、スマートな姿にシフトチェンジしている。


 もちろん、身につけている服装や周囲の環境がそう見せていた部分はあるだろうが、なによりも印象的だったのは彼の演技への細かい配慮だった。学生時代と比べ、鋭さと力強さを増した眼差しや凛々しい立ち居振る舞いを表現した演技が、ジフンの成長や3年という月日の長さを体現していたように思える。ゲスト出演であるため、出演時間は短かったものの、ソフトな面とハードな面の両方を使い分け、しっかりドラマに爪痕を残していた。


 日本のアイドルの場合、本人のパーソナリティーに近い等身大のキャラクターを演じるのが一般的だ。一方の韓国では、アイドルが本格派の俳優として難役に挑戦することがごく自然になっている。硬派なサスペンス系や社会派の作品にも出演し、そこでの迫力あふれる演技が高く評価されることが少なくない。


 たとえば、実在の事件を題材にした社会派映画『弁護人』では、「ZE:A」のイム・シワンが不当逮捕された青年役を好演した。5月に公開される『あの日、兄貴が灯した光』では、「EXO」のメインボーカルD.O.が、試合中の事故で視力を失った韓国代表の柔道選手という難役に挑戦している。かつて、「JYJ」のユチョンが『海にかかる霧』で韓国の映画賞を総なめしたように、いわゆる演技派アイドルが生まれやすい土壌があるといえそうだ。今回のユナクの演技も、その地力を感じさせるものだった。


 ところで気になったのは、ユナクが苦戦したという“片言の日本語”の演技だ。今回のドラマに限らず、前述した『HiGH&LOW THE MOVIE』においても、流暢な日本語を話せるV.I.が、あえて“片言な日本語”で演技していた。設定上の都合や、わかりやすさを求めるがゆえの演出だったのだろうが、せっかく日本語を話せるのだから、ストレートに演技力を発揮するところも見たかった。(泉夏音)