WorldRX世界ラリークロス選手権の2017年シーズンに、新たなチームの参戦がアナウンスされた。フォード・フィエスタRXスーパーカーの2台体制で挑むのは、高性能車両のR&Dを手がける技術スペシャリスト集団のSTARD(スタード)で、元WRCドライバーのマンフレッド・ストールが運営するストール・レーシングがオペレーションを担当する。
STARDは世界中で人気を博すツーリングカー選手権『TCR』カテゴリーに向け、韓国・起亜のハッチバック『シード』をベースとしたマシン開発を行ったばかり。その開発エンジニアと、ラリー競技で豊富な経験とノウハウを持つストール・レーシングがタッグを組む形だ。
ドライバーには、昨年までワールドRX・チーム・オーストリアでチームメイトだったラトビア人のヤニス・ボウムニスとロシア人のティマー・ティマジャノフを起用。
自身もシトロエン・クサラWRCなどで戦ったドライバーでもあり、新井敏弘とも共闘した経験を持つストールは、この新規チームの代表としての役割を担う。
「2015年から、この世界ラリークロスに参加しているが、ドライバーとしてもこのカテゴリーの大ファンだよ」とストール。
「だから、この分野でビジネスを始めることは理にかなっていたし、グラベルからオンロードまで幅広い可能性と学習の機会をドライバーに提供してくれる多様さも魅力だ」
「今季、我々は2台のフォード・フィエスタRXS Evo3を投入する。これはSTARDが2015年に開発したモデルをベースにしていて、2016年には(ストール・レーシングが技術支援を行っていた)ワールドRX・チーム・オーストリアに最適化されたものだ」
「我々の開発エンジニアは2017年モデルのEvo3バージョンに向け、アップデートの作業を集中的に進めてきた。ヤニスとティマーというラリークロスでトップレベルのドライバーふたりに、このマシンをドライブしてもらうのが楽しみだよ」
一方、今季からワールドRX・チーム・オーストリアの名称をMJPレーシング・チーム・オーストリアに戻し、元DTM王者のティモ・シャイダーと、ケビン・エリクソンの起用を発表した古巣から“放出”される形となっていたドライバーふたりは、ストールに感謝の言葉を述べている。
「本当に素晴らしい気分だ。マンフレッド・ストールの助けを借りて、ふたたびスーパーカーのドライブができることになるなんて」と喜びを語るボウムニス。
「ストール・グループのオフィスで契約を交わしたときはワールドRX・チーム・オーストリア向けだったが、今はSTARDとふたたび契約を交わしている。17年を本当に楽しみにしているよ」
また、この世界ラリークロスがFIAヨーロピアン選手権だった時代に2度のタイトル獲得経験を持つティマジャノフも、新たなマシンに手応えを感じている。
「ストール・レーシングとSTARDのエンジニアに、これまで培ってきた自分の経験をすべて伝えた。僕らは上手くいけば17年シーズンに面白いことが成し遂げられるはずだよ」
今季の世界ラリークロス選手権は、4月2日にスペイン・バルセロナで幕を開ける。